【エルサレム4月14日OSV】パレスチナ・ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘の影響で、オリーブ山からエルサレム旧市街までの伝統的な「枝の主日」(受難の主日)の行列は、2年続けて外国からの巡礼者たちが少なかった。それでも雨模様の灰色の空さえも、4000人の参加者たちを意気消沈させることはなかった。
参加者のほとんどはエルサレムとガリラヤ地方のキリスト者で、他は少数のヨルダン川西岸の信者、外交官や非政府組織(NGO)職員、修道会会員、移住労働者たちだった。
この日は、枝の行列と聖墳墓教会でラテン典礼エルサレム総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿が枝を祝福したミサで始まった。行列はミサの間、聖墳墓教会内の「エディクラ」(ドーム状の聖堂)の周りを回った。「エディクラ」はキリストの墓所を囲む形で建てられている。ギリシャ正教会とコプト教会の信者も教会内にあふれていた。
ピッツァバッラ枢機卿は枝の行列のメッセージで、信者たちに向けて、現状の困難があっても「何が最も大切なのか」を思い出すよう促した。「私たち、地元のキリスト者と巡礼者たちが今日、ここに共にいます。私たちは恐れてはいないことを力強く宣言するためです。私たちは光と復活といのちの子どもたちです。私たちは全てに打ち勝つ愛に希望を置き、信じています」

ガザの状況は「悲劇的で壊滅的」
こうした中、エルサレムおよび中東聖公会のエルサレム教区は声明を発表し、4月14日早朝にガザで聖公会が運営するアル・アハリ病院が空爆を受けたことを非難した。同病院は北部ガザ市の中で唯一機能している最後の病院。
同教区によると、2度の空爆によって2階建ての遺伝子研究施設が破壊され、薬局と救急対応施設、聖フィリップ教会の建物が損傷したという。
ピッツァバッラ枢機卿はイタリアのTG2000(ティジドゥエミラ)テレビのニュースによるインタビューで、ガザの状況は「悲劇的で壊滅的、恥ずべき」だとして、230万人の住民の尊厳が全く顧みられていないと指摘した。
同枢機卿はガザの聖家族小教区主任司祭のガブリエル・ロマネリ神父と話したが、同神父は教会内に避難しているカトリック信者の家庭は戦争が終わるまでとどまる覚悟だと語ったという。
「そして、何が起こるかは神だけがご存じです。それでも私たちは極めて現実的に考えなければなりません」
