米国司教協議会、書簡で大統領に債務削減求める

【ワシントン4月9日OSV】米国による相互関税の賦課で世界経済に衝撃が走る中、米国司教協議会と諸宗教開発援助団体のジュビリーUSAネットワークは、ドナルド・トランプ大統領に「債務の一部帳消し」を提案している。
 同司教協議会と同ネットワークは4月8日、合同書簡をトランプ氏に送り、同氏が前回の任期に行っていた世界の対外債務削減をさらに進めるよう促した。
 国連によると、発展途上国が抱える対外債務は過去20年間で4倍に膨らみ、2023年には11兆4000億ドルを記録、各国の輸出収入の99%に相当する規模だったという。
 「債務削減と構造改革は効果的な経済・安全保障政策に貢献し、わが国のグローバルなリーダーシップを強めることにつながります」と同司教協議会の国際正義と平和委員会代表のイライアス・ザイダン司教と同ネットワークのエリック・ルコント事務局長は書簡で指摘している。
 「こうした政策は、私たちへの負担は少なく、わが国の貿易相手国の安定と国内での食料と燃料の値下げに大きく貢献するため、米国内の雇用と輸出の下支えにも寄与します」と書簡は強調する。
 合同書簡が出たタイミングは偶然の一致ではなく、債務削減は古来の社会正義の原則として現在の聖年でも奨励されていて、教皇フランシスコも聖年が始まる前に何度もこの件に触れていた。
 トランプ氏は1月20日、米国の対外援助をほぼ全面的に凍結すると発表していた。米国の国際開発局(USAID〈ユーエスエイド〉)によると、3月の時点でUSAIDによる開発援助プログラムの83%がキャンセルされたという。

3月16日、バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプで、
USAIDのロゴが入った飲料水ジャーを掲げるイスラム少数民族ロヒンギャの少女
(OSV News photo/Mohammad Ponir Hossain, Reuters)
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