教皇、マリアの霊性の祝祭で促す 真の信仰はイエスを中心に据える

【バチカン10月12日CNS】キリスト者は信仰によって、自分とは違う人や、特に貧しい人を避けたり、退けたりしてはならない、と教皇レオ14世は警鐘を鳴らす。
 「他者との交わりを育まず、私たちの心をまひさせてしまうような形の礼拝があることは確かです」と教皇は10月12日、バチカンのサンピエトロ広場でささげた聖年の「マリアの霊性の祝祭」のミサ説教で指摘した。
 「マリアの歩みはイエスの後に従います。イエスが進まれる道は、私たちを全ての人との出会いに導きます。特に貧しい人、傷ついた人、罪を犯した人です」と教皇レオは説教で強調する。「このため、真のマリアの霊性は教会に、神の優しさと神が示される母性をもたらすのです」
 カトリック諸団体や信心会、聖母信心の団体のメンバーが10月11日と12日の「マリアの霊性の祝祭」のため、ローマに招かれ、11日には現物のファティマの聖母像を前にして、教皇と共に晩の祈りに参加した。
 ポルトガル・ファティマの聖母聖堂から運ばれていた聖母像は12日のミサでも祭壇上に安置されていた。
 「私たちの信仰を養ってくれるマリアの霊性は、イエスを中心に据えています」と教皇レオは説教で強調する。大切なのは常に、イエス・キリストを思い起こすことだからだ。
 「ですから、主日のミサが私たちをキリスト者にする必要があります」と教皇は説明する。「ミサが私たちの思いと感性をイエスの熱く燃える記憶で満たし、私たちが共にする生き方と地上での暮らし方を変えてくれるはずなのです」
 「兄弟姉妹の皆さん、マリアの霊性は福音に仕えます。福音のやさしさを示すのです」と教皇は会衆に語りかける。
 「ナザレのマリアに対する私たちの愛情は、マリアと共にイエスの弟子になるようにと私たちを導きます」と教皇は続ける。「主に立ち帰り、復活された方が来てくださり、呼びかけてくださる私たちの人生のさまざまな出来事を観想し、結び付けるすべを教えてくれるのです」

10月12日、バチカンのサンピエトロ広場でささげた聖年の「マリアの霊性の祝祭」のミサ後、パパモービレ(教皇特別車)で広場を巡って、会衆にあいさつする教皇レオ14世(CNS photo/Lola Gomez)

戦争を正当化することはできない

【バチカン10月11日CNS】1981年の聖ヨハネ・パウロ2世教皇暗殺未遂事件で使われた弾丸が冠に埋め込まれたファティマの聖母像を前にして、教皇レオ14世は戦争を続ける人々に武器を置くよう呼びかけた。
 「『剣をさやに収めなさい』(ヨハネ18・11)は、この世の権力者や人々の命運を握っている指導者に向けられることばです。武器を捨てる勇気を持ってください」と教皇は10月11日、バチカンのサンピエトロ広場でささげられた晩の祈りと平和のためのロザリオの祈りの中で訴えた。
 イエスは逮捕された夜、ペトロに言われる。「剣をさやに収めなさい」。イエスは今日の戦争当事者に同じことを言われている、と教皇は指摘し、このことばは、「それと同時に、私たち一人一人にも向けられていて、どんな思想も信条も政策も殺人を正当化できないことを意識するよう求めています」と付け加えた。

 平和は「正義と勇気あるゆるし」の結果
 
 一人の人間として、そしてイエスの最初の弟子としての模範を示すマリアと共に、「私たちは苦しむ全ての兄弟姉妹と被造物に向ける共感のたまものを授けてくださるよう神に願いましょう」と教皇レオ14世は信者に呼びかける。
 「私たちはイエスの母と十字架のそばにいた少数の勇気ある女性たちに目を向けましょう」と教皇は勧める。「彼女たちに学び、私たちもこの世の数え切れない十字架の下に立てますように。そこでは今もキリストがご自身の兄弟姉妹のうちに十字架につけられ、その人たちに慰めと交わりと助けをもたらそうとしておられるのです」
 「カナでの婚宴」で、マリアは召使いたちにイエスの言いつけに何でも従うようにと告げる。
 今日も従わなければならないのは、イエスがペトロに向けたことば、「剣をさやに収めなさい」だと、教皇レオは強調する。
 「皆さんの手の、そして何よりも大切なのですが、心の武装を解いてください。前にも別の機会にお話ししましたが、平和は武装しませんし、武装を解くのです」と教皇は続ける。「それは抑止力ではなく、きょうだい愛です。最後通告ではなく、対話です。平和は敵に対する勝利で得るものではありません。正義と勇気あるゆるしを広めた結果として得られるのです」

10月11日、バチカンのサンピエトロ広場でささげた聖年の「マリアの霊性の祝祭」の晩の祈りと平和のためのロザリオの祈りの中で、現物のファティマの聖母像の前でひざまずき、祈りをささげる教皇レオ14世(CNS photo/Lola Gomez)


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