教皇、選出から100日に 新たな職務に慣れる段階か

【バチカン8月11日CNS】教皇レオ14世が5月8日、選出されてバチカンの聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーに姿を現してから、8月16日で100日になる。教皇は9月14日に70歳を迎える。
 教皇職の最初の100日間は、今後の展開を示唆するものなのかもしれないが、教皇レオ14世のペトロ後継者として、ローマの司教としての奉仕職は今のところ、ほぼ職務と大群衆と儀礼に慣れようとしている段階のように見える。
 『新教会法典』によると、ローマ教皇は、「その任務からして教会の最高、十全、直接かつ普遍の通常権を有し、常にこれを自由に行使できる」(第331条)。
 言い換えれば、教皇は就任後の早い段階で、大統領令に相当するような教会法上の決定を下すこともできたことになる。教皇はその代わりに評判通り、決断する前に他者の意見を聴く姿勢を貫き、枢機卿団との会見を開き、教皇庁諸部署の責任者と個別に面談した。
 教皇レオ14世は前任者たちと同様に、選出の数日後には教皇庁諸部署の責任者の暫定的な留任を確認した。本格的な任命人事は9月から10月初めになると予想されているが、教皇自身が務めていた司教省長官の任命が手始めになると思われる。
 9月には教皇レオ14世がどこに住むのかについての発表もあるとみられている。数人の枢機卿たちはコンクラーベ(教皇選挙)の前から、誰になろうと将来の教皇はバチカン使徒宮殿の教皇居住棟に戻るよう勧めていたと語っている。その方がセキュリティーの確保が容易でバチカンの出費の節約にもなり、教皇フランシスコが宿舎にしていた「聖マルタの家」を来客の宿泊施設に戻すこともできるという理由からだった。

 共に歩む道の六つの根本的側面
 
 教皇レオ14世は選出直後の最初のあいさつで、こう語った。「私たちはシノドス的な(共に歩む)教会になりたいのです。共に旅をする教会、常に平和を追求し、常に愛を求めて、人々に寄り添うこと、特に苦しんでいる人に寄り添うことを願う教会です」
 教皇レオはさらに、選出から2日後の枢機卿団との会見で、少なくとも今後20年は続くことが見込まれる教皇職で鍵となる目標について話した。
 教皇は枢機卿団にこう呼びかけた。「今日、私たちは普遍教会が第2バチカン公会議の後に進めてきた数十年の歩みに、あらためて完全に従いたいと思います」
 その歩みは、前任者の教皇フランシスコが最初の使徒的勧告『福音の喜び』で「見事に思い起こさせ、具体的に示した」六つの根本的な側面に集約される。
 教皇レオ14世が強調した六つの側面は、「①福音宣教において第一にキリストに立ち戻ること②キリスト教共同体全体の宣教的な回心③団体制とシノダリティー(共に歩むこと)における成長④信仰の感覚、特に民間信心のような固有で包括的な形態への配慮⑤弱い立場に置かれた人や疎外された人を、愛をもっていたわること⑥現代世界のさまざまな要素・現実と勇気と信頼をもって対話すること」。

 3言語の使い分けで人々と交流

 選出されてから数週間が過ぎてくると、教皇レオ14世は大勢の人々と会うことに慣れてきたようだった。バチカンのサンピエトロ広場で開かれる毎週の一般謁見では、赤ちゃんを祝福する時間を増やすようになり、数万人の人々との交流も楽しむようになってきた。
 暑さが増した8月6日に開かれた一般謁見では、教皇は公式のプログラムを1時間以内で終わらせ、その後の2時間半を巡礼者たちとの握手や写真撮影に割いて、数十人の新婚カップルには異例に長い時間をかけた会話の後に祝福を与えていた。
 教皇庁の高官だった際には、いくらか無口な印象で通っていたが、教皇レオ14世は人々とつながる特別な手段を持っていることを示した。教皇が英語とスペイン語、さらにバチカンの公用語になっているイタリア語を自由に使い分けることで、多くの人が自分の分かる言葉で話しかけられていることを喜んでいる。

6月7日、バチカンのサンピエトロ広場で「聖霊降臨の主日」前晩の祈りを司式する前に子どもとあいさつを交わす教皇レオ14世(CNS photo/ Vatican Media)
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