【バチカン7月21日CNS】教皇レオ14世は7月21日、パレスチナのマフムード・アッバス大統領と電話会談し、ガザでの人道的悲劇と緊急支援の必要などについて意見交換した。
アッバス大統領からかかってきた電話では、「ガザでの戦闘についての最新の展開とヨルダン川西岸での暴力事件について」話された、と教皇庁広報局は声明で明らかにした。
「電話会談の中で、教皇は改めて国際人道法の完全順守を訴え、特に民間人と聖なる場所を保護し、無差別な武力行使と人々の強制避難を禁止する義務がある」と強調した、と同広報局の声明は述べている。
「悲劇的な人道状況を受けて強調されたのは、紛争の結果によって最も弱い立場に置かれている人々への緊急支援と適正な人道支援の搬入の必要性だった」と声明は付け加えている。
食料を待つ市民に突然銃撃 危機的な飢餓は悪化の一途
国連世界食糧計画(WFP)の報告によると、ガザ北部で7月20日、「必死で求めている食料の供給を待っていた」多数の市民が突然、イスラエル軍の戦車や狙撃兵などによる銃撃を受けたという。国連のトラック25台がイスラエル軍による最後の検問を通過して食料を運び込むところだった。
ガザを実効支配しているイスラム組織ハマスが運営する保健省によると、少なくとも67人が死亡したという。イスラエル国防軍は「警告射撃」を行っただけだとして、死者の人数を否定している。
今回の「暴力事件は、イスラエル当局による人道支援活動の状況改善の約束があったにもかかわらず発生した。人道支援の車列の経路では、どの段階でも軍隊は近づかないはずだった」とWFPは7月20日、強調した。
「こうした基本的な条件が満たされなければ、ガザでの救命支援を継続することはできない」とWFPは付け加え、ガザの危機的な飢餓は悪化するばかりだと警告を繰り返す。
「人々は人道支援の欠如によって亡くなっている。9万人もの女性と子どもたちの間で栄養失調が急増していて、緊急な治療を必要としている。ほぼ3人に1人が何日も食べ物を口にしていない」とWFPは続け、地元の市場では約900・の小麦粉が100ドル(約1万4800円)以上もすると報告している。
ガザの保健省とイスラエル外務省によると、7月20日時点で、イスラエル軍とハマスの戦闘によって5万9200人以上のパレスチナ人と1980人以上のイスラエル人が死亡したという。200人以上のジャーナリストやメディア関係者、220人以上の人道支援団体関係者も死亡したと報じられている。
バチカンとパレスチナ包括合意で 16年に国家承認し外交関係樹立
教皇レオ14世とアッバス大統領の電話会談では、両者が聖座(バチカン)とパレスチナの間の包括的合意が10周年を迎えていたことに言及した、と教皇庁広報局は付け加えた。この合意は2015年6月26日に調印され、翌16年に発効していた。
包括的合意によって、パレスチナは独立国家として承認され、両国間の外交関係が樹立された。パレスチナ領内でのカトリック教会の権利と義務についても規定されている。
