教皇、イスラエル首相と電話 和平交渉再開と即時停戦促す

【バチカン7月18日CNS】イスラエルのベニヤミン・ネタニヤフ首相から教皇レオ14世に電話があり、教皇は同首相にパレスチナ・ガザでの戦闘について和平交渉を再開し、即時停戦を実現するよう促した。
 ローマの南東カステルガンドルフォに滞在する教皇に7月18日朝、かかってきた電話は、前日にイスラエル軍がガザで唯一のカトリック教会である聖家族教会敷地内を攻撃したことを受けたものだった。砲弾やがれきの飛散で少なくとも3人が死亡し、主任司祭のガブリエル・ロマネッリ神父を含む10人以上が負傷した。
 「通話の間、教皇は改めて、(同首相に)交渉努力に向かい、停戦と戦闘の終結を実現するよう求めた」と教皇庁広報局は声明で述べた。
 「教皇は再度、ガザの市民の悲劇的な人道状況と、特に子どもたちや高齢者、病者が強いられている心が引き裂かれるような犠牲への憂慮を表明した」と声明は続けている。
 「通話の最後に、教皇は改めて礼拝所と信者たち、そしてパレスチナとイスラエルの全ての人を守ることの緊急性を強調した」と声明は付け加えた。
 教皇は前日の17日にも攻撃発生後の弔電で、現地での即時停戦と対話、平和を呼びかけていた。
 同日朝に攻撃があった時点で、約600人の男女と子どもたちが聖家族教会に避難していて、そのうち障害のある人と病気の子どもたち約50人は「神の愛の宣教者会」のケアを受けていた。

7月18日、前日17日にイスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ・ガザの聖家族教会敷地内で翻るバチカン市国の国旗(OSV News photo/ Khamis Al-Rifi, Reuters)

 ガザ訪問の枢機卿にも電話 「この殺りく終わらせる時」

 教皇レオ14世は7月18日、ラテン典礼エルサレム総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿とも電話で話し、「この殺りくを終わらせる時」だと伝えた、とバチカンニュースは報じた。
 ピッツァバッラ枢機卿とギリシャ正教会エルサレム総主教テオフィロス3世は、ガザに大量の人道支援物資を届ける使節団を指揮していた。
 使節団が越境してガザに入るところで、教皇から同枢機卿に電話があり、教皇は「寄り添いと愛と祈りと支えを伝え、停戦だけでなくこの悲劇を終わらせるためにできる限りの全てのことをしたいとの望みを表明した」と同枢機卿はバチカンニュースに語った。
 「教皇レオは繰り返し、この殺りくを終わらせる時だとして、いま起こっていることは正当化できず、私たちはこれ以上の犠牲者が出ないようにしなければならないと話しておられました」と同枢機卿は付け加えた。

 ガザへの人道支援使節団 食料や医療物資など運ぶ

 ガザの全ての人が「忘れられることはなく、見捨てられることもありません」とラテン典礼エルサレム総大司教座は7月18日、声明で強調した。
 「ガザの聖家族教会敷地内への悲惨な攻撃を受けて」、ピッツァバッラ枢機卿とテオフィロス総主教は教会の使節団を率いてガザに入り、「ガザの共同体に対して、聖地の諸教会が共にする司牧的配慮と憂慮を表している」と声明は説明する。
 「ラテン典礼総大司教座による要請と人道支援団体との調整によって、現地入りが可能になり、キリスト教共同体だけでなく、できるだけ多くの家庭に必要な支援を届けられることになった」と声明は続ける。
 「この支援物資には、大量の食料と応急処置キットや緊急に必要な医療機器も含まれている。さらに総大司教座は攻撃で負傷した人を治療が受けられるガザの外の医療機関へ搬送する手配も保証する」と声明は付け加えている。
 「使節団は滞在中に、地元キリスト教共同体のメンバーと会い、哀悼の意と連帯を伝えて、今回の事件で苦しんでいる人々に寄り添う」と声明は述べている。ピッツァバッラ枢機卿は「自ら、共同体の人道的かつ司牧的必要を判断し、教会による介在と対応の継続を導く助けとする」。

7月18日、前日17日にイスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ・ガザの聖家族教会聖堂内で。左から同教会主任司祭のガブリエル・ロマネッリ神父、ラテン典礼エルサレム総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿、ギリシャ正教会エルサレム総主教テオフィロス3世(CNS photo/courtesy Latin Patriarchate of Jerusalem
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