ガザ聖家族教会に戦車攻撃 3人死亡、司祭ら多数負傷

【エルサレム7月17日OSV】パレスチナ・ガザの聖家族教会に7月17日午前中、初期報道によると戦車の攻撃があり、3人が死亡、主任司祭ら9人が負傷した。
 教皇レオ14世は同日、打電された弔電で、「ガザの聖家族教会に対する軍事攻撃によって死者と負傷者が出たことを知り、深い悲嘆を覚えています」と述べ、主任司祭のガブリエル・ロマネッリ神父と小教区共同体への「霊による寄り添い」を約束した。教皇は犠牲者のために祈り、「死者を悼む人への慰め、負傷者の回復」を願っている。
「教皇は即時停戦を改めて訴え、現地での対話と和解と恒久的な平和への深い切望を表明している」と教皇庁国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿が打電した電文は述べている。
 ラテン典礼エルサレム総大司教座は同日午前、短い声明で、同教会で負傷者と損害が出たことを確認していた。「ガザの聖家族教会は今朝、急襲による被害を受けた」と初動の声明は述べていた。

 エルサレム総大司教座、「緊急保護」求める

 その後の声明で、総大司教座は攻撃について「最大限の非難」を表明し、攻撃は「人間の尊厳に対する凶悪な侵害であり、いのちの聖性と戦時に安全な逃れ場を提供するはずの宗教施設の聖性に対する露骨な侵害行為」だと糾弾している。
 声明によると、砲撃で教会施設内が大きく破壊され、特殊治療が必要な人々は避難を余儀なくされ、必要な人工呼吸器がなく生命の危険にさらされている人もいるという。
 「この危機的な時に総大司教座は、教会は霊的かつ人道的なともしびであり、いかなる差別もなく全ての人に奉仕することを強調する」と声明は述べている。
 「さらに総大司教座は、国際社会と国連機関に対して、ガザの宗教団体と人道支援施設を緊急に保護するよう求め、民間人と礼拝所を標的にすることを犯罪とする国際人道法の順守を徹底させるよう訴える」と声明は続けている。
 総大司教座が聖家族教会内での死亡を確認した3人は、60歳と84歳の男性と70代の女性。
 イスラエル国防軍(IDF)は7月17日にX(旧ツイッター)に投稿した声明で、「ガザの聖家族教会で損害が出て、現場で死者も出ているとの報道を確認している。事件の状況について調査中」だと述べた。
 「IDFは民間人や宗教施設を含む民間機構への危害を軽減するために可能な限りの努力を払っており、起こってしまったいかなる損害についても遺憾に思う」とイスラエル国防軍は付け加えている。

 「人道的にも倫理的にも正当化できない」

 主任司祭のガブリエル・ロマネッリ神父は足を負傷しながらも、担架で運ばれる男性の額に手を当てている姿が、アルアラビアテレビが放映した動画に写っていた。同神父は二人の男性に付き添われていて、その一人は神父の顔に包帯を当てていた。
 ロマネッリ神父も治療のためにアルアフリ・アラブ病院に搬送されたが、治療を受けた後で教会に戻ったとロイター通信は報じた。
 現場の写真では、教会の十字架近くの屋根の一部が戦車の砲撃で吹き飛び、壁には焼け跡が付いていて、窓ガラスは粉々に割れているのが見える。
 「砲弾は教会の屋根の十字架近くで爆発し、破片やがれきが敷地内に散乱している」とカリタスエルサレムは声明で述べて、教会は「砲撃を受けた」と付け加えた。
 高齢の女性2人がカリタスの社会心理支援テントの中に座っていて負傷し、教会の入り口に立っていた若者3人も重症を負ったとカリタスの声明は明らかにしている。
 「ラテン典礼総大司教座は、この悲劇と民間人と聖なる場所を標的にした行為を強く非難する」と7月17日午後に発表された声明で、聖地の教会指導者たちは述べている。
 「しかしながら今回の悲劇は、ガザを襲っているより多くのさらに大規模で非道な惨劇には及びません。より多数の罪もない市民が危害を受け、家を追われ、殺害されているのです。死と苦しみと破壊が至るところにあります」と声明は続ける。
 「指導者たちが声を上げて、必要な全てのことを行い、こうした人道的にも倫理的にも正当化できない悲劇をやめさせる時が来ています」とラテン典礼総大司教座は訴えている。

7月17日、パレスチナ・ガザのアルアフリ・アラブ病院で治療を受ける聖家族教会主任司祭のガブリエル・ロマネッリ神父。初期報道によると同教会へのイスラエル軍戦車からとされる砲撃で足を負傷している(OSV News photo/Dawoud Abu Alkas, Reuters)


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