【タイベ(ヨルダン川西岸)7月15日OSV】パレスチナ・ヨルダン川西岸のタイベを訪問した聖地の総大司教・総主教・教会指導者評議会は7月14日、イスラエル当局に対して、農地や聖なる史跡への襲撃を続けている過激な入植者たちに責任を負わせるよう求めた。
ユダヤ人入植者たちの襲撃によって、地元農民たちは耕地に近づけず、史跡も危険にさらされている、と現地訪問の初めにギリシャ正教会エルサレム総主教テオフィロス3世が読み上げた同評議会の声明は述べている。
声明はイスラエル当局がタイベ周辺で入植者たちの活動を「容易にし、促している」と指摘し、最近の襲撃中にイスラエル警察が地元共同体の通報に応答せず、「忌まわしい行動」が罰せられないのはなぜかについて「緊急で透明性のある捜査」を求めている。
「平穏に暮らしている私たちの共同体に対する入植者たちによる攻撃を、タイベでもヨルダン川西岸全域でもやめさせなければなりません。これは明らかにキリスト教徒に対する組織的な攻撃で、ヨルダン川西岸全域で広がっています」と声明は訴える。
教会指導者たちはさらに、外交官や政治家、ジャーナリスト、特に世界のキリスト教徒による「祈りと関心と行動」を呼びかける。
「こうした過激な入植者たちが繰り返す組織的な攻撃」は、「頻度を増すばかり」だと声明は続けている。
教会指導者たちは指摘する。過去数カ月に過激な入植者たちがタイベ東側の農地に自分たちの家畜を放して、所有者たちは立ち入れなくなり、農民たちが生活の糧にしているオリーブ園も被害を受けている。さらに、入植者たちは何軒かの家屋を襲撃し、放火するなどして、「ここにはお前たちの未来はない」と書かれた看板を立てている。
少年も含む入植者たちの暴力行為
タイベはこの数日間で、近くのリモニム入植地の入植者たちから少なくとも4回、標的にされていて、タイベでテントを張り、家屋やオリーブ園に放火するなどの攻撃に遭っている。さらには、ビザンチン時代の墓地の隣の土地や5世紀建造のアルハデル(聖ゲオルギオ)教会など、宗教的にも文化的にも重要な史跡が7月7日に放火された。
住民たちによると、近隣に駐留しているイスラエル軍兵士たちは、事態に介入する様子もなく、暴力を働く入植者たちを積極的に守ってさえいたという。
ラテン典礼エルサレム総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿は、現地訪問に同行した記者団に、キリスト教諸教会の指導者たちは入植者による襲撃に関してイスラエル当局に接触しており、「あらゆる機会」に襲撃を非難するよう求めていると語った。同枢機卿は、こうした要求を「少なくとも状況についての説明」を得るまで、「一貫して」続けていくとしている。
入植者による暴力行為には、しばしば15歳ほどの少年も含む武装した若者たちが参加していると住民のイブラヒム・ホウリーさん(57)は語った。2年続けて、襲撃の恐れからオリーブ園での収穫ができていないという。銃で武装した入植者たちが侵入してくるので、労働者たちにすぐに避難するよう告げるしかなかった。2023年には、入植者たちから労働者の一人を「生き埋めにする」と脅された。ホウリーさんは、娘の学費を工面する上でオリーブ油の販売に頼ってきたが、他の仕事を増やして埋め合わせするしかなかった。

