【カステルガンドルフォ(イタリア中部)7月7日CNS】ローマの南東約30キロにある静かな避暑地カステルガンドルフォは、12年ぶりに夏休みを過ごす教皇を迎えた。
教皇レオ14世は7月6日午後、バチカンのサンピエトロ広場に集まった人々と共に「お告げの祈り」を唱えた後、現地で過ごす16人目の教皇として、夏季教皇別荘に滞在するため現地に移動した。
「今日の午後、私はカステルガンドルフォに行き、短期間ですが休暇のために滞在します」と教皇は広場に集まった巡礼者たちに語りかけた。「皆さんも体と心の力を回復するために、休暇の時を過ごすことができますように」
歴代教皇がローマの夏の暑さを避けるため、より涼しいアルバーノ丘陵で過ごす伝統は、1626年に教皇ウルバノ8世が始めた。教皇ベネディクト16世は2012年の夏には3カ月近くを夏季教皇別荘で過ごしたが、その後任を務めた教皇フランシスコは夏季別荘では過ごさずに、バチカンで宿舎にしていた「聖マルタの家」にとどまることに決めた。
観光客は増えたが「輝き」なかった
教皇フランシスコは16年には教皇宮殿などを博物館に改装し、別荘と庭園を一般に公開した。
その決定はカステルガンドルフォの町を訪れる観光の客層を変えた、と地元住民で30年以上、町の本通りでモザイク工房を営むマリーナ・ロッシさんは話す。
「それ以前の平日は、これほどの人出はありませんでした」と7月1日、ロッシさんは続け、教皇たちは主日に「お告げの祈り」を唱えるために姿を現すだけだったからだと説明する。「その代わりに、宮殿や別荘が公開されたことで、訪れる人の客層が変わり」、倹約家の巡礼者たちよりも、お金を使う観光客が増えた。その結果、「この12年間、私たちは潤っていました」
それでも、とロッシさんは強調する。教皇が戻って来るのは「素晴らしいことです」。
町が「重要な表舞台になるからです」とロッシさんは言う。「もちろん、私たちはうれしいです」
教皇宮殿前の広場近くでレストラン「ソル・カパンナ」を経営するアッスンタ・フェッリーニさんは、教皇の不在中に観光客が減ることはなかったと話す。
「観光客は本当にたくさん来ました」とフェッリーニさん。「でも、教皇が戻って来られることは間違いなく、町にとって名誉なことです。ここに来られて、私たちと会ってくださるのですから」
地元のコーヒーショップを経営するバリスタ(コーヒー職人)のステーファノ・カロージさんも同じ意見だ。「長く不在だった教皇が私たちの間に戻られるのは素晴らしいことです」と言う。「これを長らく待っていたわけです」
教皇フランシスコが長く滞在したことはないので、この町には「輝きも光もありませんでしたが、今やその12年間は過ぎ去ったように思え、私たちは全てが以前のように戻ることを願っています」
