新教皇、メディアに感謝し 平和の実現に尽くすよう促す

【バチカン5月12日CNS】新教皇レオ14世は5月12日、ジャーナリストたちに向けて、平和を実現する人となり、報道の中で偏見と怒りを排除するよう呼びかけた。さらに報道活動のために投獄されているジャーナリストたちの解放を求めた。
 「こうした収監されているジャーナリストたちの苦しみは、各国と国際社会の良心を問うものであり、私たち全員に言論と報道の自由という尊いたまものを守るよう求めているのです」とレオ14世は強調する。
 5月10日の枢機卿団との会見を別にすると、レオ14世の公の特別謁見は、教皇フランシスコの逝去と新教皇の選出までを報道したメディア関係者とのものが初となった。
 「皆さんがされた仕事と、ここ数日続けておられることに感謝しています。本当に教会にとって恵みの時となりました」と新教皇は、メディア関係者と教皇庁広報省のスタッフたちに語りかけた。
 新教皇は特に記者たちに感謝を伝え、「皆さんはキリスト者の生活や教会生活そのものをしばしば型にはめて解釈する姿勢から抜け出す努力をしてこられました」とたたえた。
 あいさつを終えて、使徒的祝福を送った後の新教皇は、数十人の記者たちと直接あいさつを交わした。
ある記者が母国の米国訪問は近いかと聞くと、新教皇は「それはないと思います」と答えていた。
 他の記者は、教皇フランシスコが今年トルコを訪問してニケア公会議開催1700年を東方正教会コンスタンチノープル総主教のバルトロマイ1世と共に祝うとしていた約束を代わりに果たすことを計画しているかと質問した。同公会議は325年に現トルコのイズニクで開催された。
 「準備はしています」と新教皇は答えたが、訪問がいつになるかは明らかにしなかった。

 弱い立場の人の声を拾う報道

 新教皇レオ14世はジャーナリストたちへのあいさつで、分裂や不和ではなく平和をもたらすメディアの役割について話した。
 福音書にある幸いの一つ、「平和を実現する人々は、幸い」は全ての人にとっての挑戦であり、そのことは特にメディア関係者に当てはまるとレオ14世は指摘する。「皆さん一人一人は多様なコミュニケーションを推進する役目を担っています。それは、何としても合意をもたらそうとするのではなく、攻撃的な言葉を使わず、競走文化に追随せずに、謙遜に追求しなければならない愛と真理の探求を決して切り離さないことを意味します」
 「平和は私たち一人一人から始まります。他者へのまなざしの向け方や耳の傾け方、他者についての話し方にかかってきます」と新教皇は続ける。「その意味では、私たちの伝え方には根本的な重要性が伴ってきます。私たちは言葉と画像による戦争に『ノー』を突きつけなければならず、戦争のパラダイム(枠組み)を拒否しなくてはいけません」
 ジャーナリストが使う言葉や書き方が「重要」になるとレオ14世は説明する。「実際、コミュニケーションとはただ情報を伝えるだけのことではありません。文化と、対話と議論の場となる人間同士のデジタルな環境とを創り出すのです」
 「必要なのは声高で力ずくのコミュニケーションではなく、むしろ声を上げられない弱い立場にある人に耳を傾け、その声を拾い上げることのできるコミュニケーションです」と新教皇は付け加えた。

 新たな社会教説とAI活用の識別

 新教皇は5月10日の枢機卿団との会見で、レオ13世をたたえる意味でレオ14世を名乗った理由を説明していた。その際に強調したのは、今日の新たな産業革命に直面してカトリック教会の社会教説も新しくする必要があること、そしてAI(人工知能)の発展が「もたらしている人間の尊厳と正義と労働を守るための新たな挑戦」だった。
 レオ14世は12日のメディア関係者との特別謁見で、こうした新技術は記者たちにも特別な挑戦をもたらすと指摘した。「特に人工知能のことを思います。計り知れない可能性があるのですが、その活用には責任と識別が求められます。全ての人のために使われて、全人類に利益をもたらすようにするためです」

5月12日、バチカンのパウロ6世ホールで開いたメディア関係者との特別謁見で、ペルーのジャーナリストからアルパカ繊維織りのストラを贈られた新教皇レオ14世(CNS photo/Vatican Media)
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