【バチカン5月8日CNS】米中西部シカゴ出身で、教皇フランシスコの下で教皇庁司教省長官を務めたロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)が5月8日、第267代教皇に選出され、レオ14世を名乗った。
北米出身者が教皇に選ばれるのは史上初で、プレボスト枢機卿はコンクラーベ(教皇選挙)前に、聖ペトロの後継者になる可能性のある米国の枢機卿として最も多く名前が挙がっていた。
白い煙がローマ時間午後6時7分(日本時間9日午前1時7分)にバチカンのシスティーナ礼拝堂の屋根の煙突から吹き出し、その数分後に聖ペトロ大聖堂の鐘が打ち鳴らされた。

白い煙が出たことを聞きつけた人々がローマ中から駆けつけ、既に煙を見ようとサンピエトロ広場に集まっていた数万人に加わり、10万人ほどの人出になった。
助祭枢機卿でフランス出身のドミニク・マンベルティ枢機卿が午後7時12分、聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーに現れ、集まった人々にラテン語でこう告げる。「私は皆さんに大いなる喜びをお知らせします。私たちに教皇が授けられました」。続いてプレボスト枢機卿の名と新教皇がレオ14世を名乗ることを同じくラテン語で発表した。
平和を世界に広めて 共に前進する教会へ
その20分後、新教皇レオ14世はバルコニーに姿を現し、白い教皇のカソックと赤いマッゼッタ(ケープ)、赤いストラを身に着けて、ほほ笑みながら人々に手を振り、最初の公な「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ)の祝福を送った。
集まった人々が「ビバ・イル・パパ」(教皇万歳)と繰り返し叫ぶと、レオ14世の目に涙が浮かんだように見えた。
「あなたがたに平和があるように」が、レオ14世が最初に人々に向けて発した言葉だった。
「親愛なる兄弟姉妹の皆さん、これが復活されたキリストの最初のあいさつです。主は神の群れのためにいのちを差し出された良い羊飼いです」と新教皇は続け、キリストの平和が人々とその家族の心と「世界全体」に広がるようにと祈った。
復活された主の平和は、「武装することなく武装を解く平和です」とレオ14世は強調する。
教皇フランシスコの教皇職からの継続性を強くにじませながら、教皇レオ14世は人々に向けて告げる。神は「私たち皆を無条件に愛してくださる」。教会はあらゆる人に開かれていなければならない。
「私たち全員が神のみ手のうちにあります」と新教皇は強調し、続ける。「ですから、恐れることなく、一致して、神と共に互いに手を取り合って、前に進んでいきましょう」
「共に宣教する教会」 人々に寄り添う教会
新教皇は4回目の投票で自身を選出した枢機卿たちに感謝を表し、「ペトロの後継者となり、一致した一つの教会として皆さんと共に歩み、常に平和と正義を求めて」、共に宣教するキリストの弟子となることを誓う。
広場に集まった人々には、自身が聖アウグスチノ修道会士であることを告げ、聖アウグスティヌスの言葉を引用して、 「皆さんと共に私はキリスト信者で、私は皆さんのための司教です」と語った。
「私たちは共に宣教する教会となる努力をしなければなりません。橋を築いて、常に対話をし、常にあらゆる人を受け入れるために開かれた教会です。ちょうど、この広場があらゆる人、苦しんでいる全ての人のために両腕を広く開いているように」とレオ14世は強調する。
新しいローマの司教は、ローマ教区と全カトリック教会の人々に語りかける。「私たちはシノドス的な(共に歩む)教会になりたいのです。共に旅をする教会、常に平和を追求し、常に愛を求めて、人々に寄り添うこと、特に苦しんでいる人に寄り添うことを願う教会です」
教皇レオ14世は人々に、共に「アヴェ・マリアの祈り」を唱えるよう呼びかけてから、最初の荘厳な祝福を送った。
奉仕と福音宣教を 真に願う人になる
南米ペルーで長年、宣教師として働いた69歳の新教皇は、米国とペルーの市民権を併せ持つ。
イタリアの日刊紙「ラ・レプッブリカ」は4月25日、プレボスト枢機卿を「国際人で内気」と紹介していたが、それと同時に、「保守派と進歩派の双方から高く評価されている。互いに知り合いが少ない(枢機卿たちの)コンクラーベで世界的に知られている存在」だとも指摘していた。
その知名度の高さは、教皇庁司教省長官を2年間務めていたことによる。教皇フランシスコが多くの教区の司教を選ぶ助けとなり、ローマを訪れる多数の司教たちとも会ってきた。
新教皇はペルー北部チクラヨ教区の司教を務めていたが、2023年1月に教皇フランシスコによりバチカンに呼び寄せられた。
プレボスト枢機卿は23年8月、シカゴの小教区で、教皇フランシスコが自身を司教省長官に任命したのは、「ローマ教皇庁の誰かにこの役職を担わせたくなかったからです。教皇は宣教師を、外からの人材を望み、違った見方をする誰かを欲しておられたのです」と説明していた。
司教たちの間にある聖職者主義的な態度を改めてもらうためには、「奉仕と福音を告げ知らせることを真に願っている人を探すことが重要なのです。ただ雄弁に語るのではなく、実際に模範と証しを示して伝える人です」と語っていた。
その際に同枢機卿は、教皇フランシスコが聖職者主義に対する「最も力強く、重要な」防波堤になり得たのは、「行いで説く牧者」だったからだと説明していた。
シカゴ生まれの新教皇は、聖アウグスチノ修道会の総長も務め、最初は宣教師として、のちにチクラヨ教区司教として、20年以上ペルーで働いていた。
教皇レオ14世は英語とスペイン語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語を話し、ラテン語とドイツ語も読める。
新教皇の略歴は、カトリック中央協議会のウェブサイト(https://www.cbcj.catholic.jp/)で読める。
