フランシスコの名の通り 被造物への愛を生き抜く

【バチカン4月21日CNS】教皇フランシスコはアッシジの聖フランシスコの精神と霊性に倣い、被造物と地球上に生きる全てのいのちのケアを自身の司牧奉仕の優先事項に据えていた。
 環境を大切にして守ることの重要性は、その前任者たちによっても強調されていた。聖ヨハネ・パウロ2世教皇は人類のエコロジー(環境配慮)を説き、エコロジカルな(環境配慮への)回心は人間のいのちを守る上で不可欠だと強調していた。教皇ベネディクト16世は、バチカンが「有言実行」の姿勢を貫き、ソーラーパネルの設置や複数の電気自動車導入など環境保護への施策を始めたことで、「緑の教皇」と呼ばれた。
 教皇フランシスコは、そこからさらに先を行き、自身の世界的に尊重される立場を使って、既存の努力を活性化させるために主導的な発言をするようになる。全人類に向けて訴えたのは、被造物のケアをすることは政治的でも社会的でも、科学的でも観念的な闘いでもなく、地球の悲鳴とその環境劣化により最も苦しむ貧しい人々の叫びを聞いて対応する倫理的な責務だということだった。
 教皇はこうした痛みがどれほど深刻かについてさらに踏み込み、「ともに暮らす家」である地球とその生態系、その中で生きるあらゆる形態のいのちを虐待することは「重大な罪」であり、損害と危害と病害をもたらすだけだと警鐘を鳴らす。

 二つの文書で訴える 環境保護と「気候危機」

 教皇フランシスコは地球規模で広がる危機は、人類と地球の間の相互関連性と相互依存を示していると強調した。社会、経済、政治、環境上の問題はどれも独立したものではなく、一つの包括的な問題の多様な側面でしかないと教皇は説明する。
 「総合的な(インテグラル)エコロジー」を中心原理として据えることによって、相互関連性を理解することができ、人々の価値観や思い、行動が文化、社会、政治、経済、霊性、神学といった人類のあらゆる活動と地球に影響を及ぼすことが分かると教皇は説いた。
 教皇フランシスコの教説の核心とその基本原理、実践的な応用は、2015年に発表した歴史的な文書『ラウダート・シ』で示された。同文書は環境保護についての初めての教皇回勅となった。
 回勅『ラウダート・シ』の国際社会への影響は顕著で、同年にパリで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)では世界各国の代表者のうち30人以上が教皇の言葉を引用して発言した。
 同回勅はこの会議の重要な成果となった「パリ協定」の採択に強い影響を及ぼしたとされている。
 教皇フランシスコはさらに「気候危機」について著した使徒的勧告『ラウダーテ・デウム』も、23年にアラブ首長国連邦で開かれたCOP28を控えて発表した。その中では、気候変動に対する世界の不活発な行動と無関心をより強い口調で批判していた。

南米ガイアナ内陸の湿地帯でボートを漕ぐ女性と子ども。2015年撮影(OSV News photo/Bob Roller)
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