神の名 利用し 戦争正当化 「重大な罪」と枢機卿が批判

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神の名 利用し 戦争正当化 「重大な罪」と枢機卿が批判

【ミラノ3月18日ОSV】ラテン典礼エルサレム総大司教ピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿は、戦争を正当化するために神の名を利用することは重大な罪だと語り、神は、政治目的のために宗教を利用する人ではなく、紛争で苦しむ人、亡くなる人と共にいると強調した。
 「この戦争や他の戦争の正当化のために、神の名を悪用したり、神の名で操作したりすることは、私たちが犯し得る最も重い罪です」「ほとんどの戦争がそうであるように、何よりもまず戦争は政治的なもので、極めて物質的な利害関係にまみれているものです」
 3月15日にインターナショナル・オアシス・ファンデーション(ミラノを拠地としたキリスト教徒とムスリム間の相互理解と対話の推進を目的としたキリスト教組織)が主催したウェビナー(オンライン講演会)にエルサレムからテレビ会議で参加した枢機卿は、「見せかけの宗教的な言葉」に対して警告を発した。
 「神のことではなく、自らのことを語る見せかけの宗教的な言葉に付け入る隙を与えてはなりません」と、2月28日に米国とイスラエルがイランに攻撃を仕掛けて以来、初めて公の場で発言した。
 3月10日の米国防総省のブリーフィング(状況説明会)中に、ピート・ヘグセス同国国防長官が詩編144から引用した発言をしたことを受け、枢機卿は信者たちに、宗教的な言葉を利用して紛争をでっち上げる試みは拒絶しなければならないと憤った。
 「新たな十字軍はあり得ません」
 「神が戦争の中におられるならば、中東中の死にゆく人、苦しむ人、痛みに苦しむ人、さまざまな面で虐げられた人の間におられるのです」と述べ、「この紛争には宗教的意味付けがなされますが、それらは操作です。宗教を紛争に持ち込もうとする人は、神の名を利用しているだけなのです」と語気を強めた。
 枢機卿は、教皇レオ14世が繰り返し平和を訴えていることにも触れ、その訴えは顧みられそうにないことを認めた。
「私たちは教皇の訴えは無視されるだろうと分かっています。けれども、私たちは真実を伝え続けなければならないのです。この紛争では情報が武器になるからです」

 「情報の停電」 忘れ去られたガザ

 また、ピッツァバッラ枢機卿はパレスチナ・ガザを巡って、枢機卿の言う「情報の停電」が発生していると指摘。ガザでは人道状況が依然として厳しいという。約2百万の人々が家を追われ、領土のほとんどが破壊され、必要最小限の抗生物質を含む医薬品も不足している。
 「ガザは忘れ去られています。しかし、状況は依然として悲惨です。ヨルダン川西岸地区でもほぼ毎日、イスラエルからの入植者によるパレスチナの人々に対する攻撃が発生しています」
 枢機卿は今でもガザ北部にある聖家族小教区と定期的に連絡を取っている。
 「飢えの問題は解決しましたが、いまだに2百万人が家を追われ、全てを奪われたままです。ガザの80%は破壊されたままで、再建も始まっていません」
 「36ある病院は部分的にしか稼働しておらず、医薬品も不足して、必要最小限の抗生物質さえないのです。人々は文字通り下水の中で生活しています。画像は臭いまでは伝えられません」と枢機卿は現状を説明した。
 「この悲惨な状況がどのようにして、いつ解消するのか想像もつきません。(米国主導で、ガザの統治と再建を監督するとされる)平和評議会は何をすべきなのかさえ理解していません。いずれにしても、ある種の悪循環が起きています。つまり、ハマスが武器を置かないのならば、イスラエルは撤退しないでしょうし、イスラエルが撤退しないなら、ハマスも武器を置くことはないでしょう。全てが行き詰まり状態です」と枢機卿は3月15日に語った。
 枢機卿は以前から平和評議会には懐疑的で、2月の初めに平和評議会について問われた時、「他者がパレスチナの人々のことを決めるのですから、それは植民地主義者の行動だと思います」と厳しく批判していた。

2025年12月25日、ベツレヘムの聖誕教会大聖堂の北側に隣接する聖カタリナ教会でクリスマスの夜半のミサをささげるラテン典礼エルサレム総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿 (OSV News photo/Mussa Qawasma, via Reuters)
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