長崎市の浦上教会で7月17日、長崎教区の中村倫明(みちあき)大司教司式による小鐘の祝福式が行われ、司祭・信徒ら約120人が参加した。小鐘は今年5月、米国のカトリック信徒らから同教会に贈られた。

旧浦上天主堂には、二つの鐘楼に大鐘と小鐘の1対がつるされていたが80年前の8月9日、原爆が投下されて小鐘は大破。がれきの中から見つかった大鐘は、現在も南側の鐘楼で祈りの時を告げている。大破した小鐘は現在その時の姿のまま、同教会原爆遺物展示室に保存されているが、このことを知った米国の信徒らが小鐘と同型の鐘を復元し、同教会に寄贈した。
祝福式で中村大司教は、この小鐘の持つ意味は80年前の戦争や核兵器がもたらした惨劇に対するゆるしと和解のしるしであり、原爆や戦争の犠牲者への追悼であり、世界平和に向かう希望の証しでもあると話した。
中村大司教は小鐘を「希望の聖カテリの鐘」と命名。聖カテリ・テカクウィタは、2012年に列聖された北米の先住民で最初の女性聖人だ。小鐘には、聖カテリの肖像が刻まれている。
この日の夕方、北側の鐘楼に収められた小鐘は来月9日、原爆投下時刻の午前11時2分に初めて祈りの時を告げる。
