教皇庁教理省と文化教育省が1月に発表した 「人工知能と人間知能の関係に関する覚書」邦訳版 カトリック中央協議会サイトに掲載

 バチカンの教理省と文化教育省が今年1月14日付で発表したAIを巡る覚書の邦訳版が完成し、5月26日、カトリック中央協議会が公式サイトに掲載した。
https://www.cbcj.catholic.jp/2025/05/26/32551/
 全6章からなるこの文書は、「アンティクア・エト・ノバ(新しいものと古いもの)」(マタイ13・52参照)と題され、「人工知能と人間知能の関係」について見解を示している。その本文は特に技術の道徳的活用に力点を置いて、AIが既に影響を及ぼしているか、及ぼす可能性がある、社会、人間関係、経済、労働、教育、戦争、人類と神との関係について詳述。人工知能が人類に貢献することを評価すると同時に、この技術がもたらしつつある危険性への懸念も指摘している。
 さらに、フェイクニュースやディープフェイクといった現実に起こっている問題にも触れ、「AIが生み出す虚偽に対抗するのは、企業の専門家だけの仕事ではありません。それはすべての善意の人の努力を必要とします」(同文書89番)と述べている。「AIは人間知能の豊かさに取って代わるためではなく、人間知能を補完するための道具として用いられなければなりません」(同112番)とも書かれている。
 この文書は特に、(両親、教師、牧者、司教を含む)「真理の伝達の使命をゆだねられた人々」(同5番)のために書かれた。さらに、「より広い読者、とくに科学と技術の進歩は人間の人格と共通善に仕えるために方向づけられるべきだ」という確信を共有する人々にも読んでほしい、と文書は呼びかけている(同5番)。

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