各教会で、教会本来の姿である「シノドス的な」(ともに歩む)教会づくりに取り組んでいる担当者のための研修会が2月24日と25日、福岡カテドラル大名町(だいみょうまち)教会(福岡市)で開催された。
日本カトリック司教協議会の「シノドス特別チーム」が企画・主催した3回目の「全国シノドス担当者研修会」。司教6人と司祭、奉献生活者、信徒ら57人が参加し、これまでの取り組みについて振り返り、分かち合った。
日本の教会は、シノドス(世界代表司教総会)第16回通常総会(以下・シノドス総会/2021~24年)で用いられた、「霊における会話」という分かち合いの手法を教区ごとに普及させることを目指してきた。さらに今回の研修会では、ともに歩む教会共同体づくりに向けて手応えもあったという。今年5月の連休明けには、現在シノドス特別チームが制作している霊における会話の「手引書」が完成する。

教区独自の取り組み
シノドス総会を終えた全世界のカトリック教会は、2028年に開かれる「教会総会」に向けた歩みの中にある。目指すのは、教会全体が協力し、社会に向かって宣教する「ともに歩む」教会共同体になっていくことだ。
今回の研修会では、これから各教区や小教区がより「ともに歩む」教会共同体となるための手がかりを提供することを目指した。
開催テーマは、「みんなでつくろうシノドスの教会」。
参加者は六つの小グループに分かれ、霊における会話を通じて「各教区の取り組みの①現状を知り、②困難・課題に ついて問いかけ、さらに③ともに今、大切な取り組みを見極める」―ことを目指し、分かち合った。
シノドス特別チームの小西広志神父(フランシスコ会)によれば、今回の研修会では二つの点で「柔軟性」が見られたという。
一つは、霊における会話の進め方だ。霊における会話は原則、第1ステップから第3ステップまで、三つの段階を経て霊的な分かち合いを進めるが、研修会では参加者が状況に合わせて第2ステップまでで終えるなど工夫していたという。霊における会話が普及し、なじんできたためだと小西神父は見ている。
もう一つの柔軟性の現れとは、シノドス特別チームが推奨してきた方法とは異なる、「教区独自の方法」による取り組みが見られたことだ。
これまでシノドス特別チームは、日本の信者もバチカンでのシノドス総会の参加者のように霊における会話に親しみ、ともに歩む体験を重ねていくよう勧めてきた。
これに倣い、例えば広島教区では全小教区から司祭と信徒を1人ずつ集め、約100人が霊における会話を体験。さらに「教区シノドス」(教区代表者会議)として「宣教ひろば」という集いを定期的に開き、霊における会話の手法で分かち合いをしている。札幌教区や新潟教区でも、霊における会話の普及に向けた取り組みが行われている。
一方、長崎教区は全地区から小中学生を長崎カテドラル浦上教会のある長崎市に招き、皆で集い、学び、祈る「子どもの集い」を開催。「どのような時にも『いつもともにいて導いてくださる』神がいること」を学ぶ機会として企画された集いだった。
小西神父は、こう振り返る。
「長崎教区のシノドス担当者は、『お金はかかるけれど、カテドラルに来たことのない子どももいるから』と話していました。この企画には『シノドス』も『霊における会話』も出てきませんが、ともに歩む教会共同体づくりに向けた長崎教区らしい取り組みではないでしょうか。日本のカトリック教会は、すでに『NICE1』(ナイスワン/1987年・第1回福音宣教推進全国会議)と『NICE2』(ツー/2004年)の時に皆で祈り、聞き合い、分かち合うことを体験しています。シノドス的な教会共同体づくりは、日本で既に始まっていたと言うこともできると思います」
スタート地点に立った
研修参加者の中には、今回初めて、霊における会話で困難さを感じた人もいた。
例えばある修道者は、第2ステップから第3ステップへ移行する時に「グループでの分かち合いをまとめていく中で、(皆の祈りのうちに浮かび上がった)ことばが死んでいく」ように感じたと感想を述べた。
だが小西神父は、これも大切な手応えとして受け止める。霊における会話で皆との一致を味わい、満たされる感覚を得るところで終わらず、「その体験を現実の中でも生きていく」ためのスタート地点に立ったことを意味するからだと、次のように説明した。
カトリック中央協議会の『シノドスハンドブック』(2024年)によれば、霊における会話の第1ステップと第2ステップは、どちらも「祈ったことを分かち合う」段階。
今回の研修会の第1・第2ステップでは、各教区がともに歩む共同体づくりで感じている困難さなどについて祈り、分かち合った。それは「自分の心の中に生まれたものを自分だけのものにしないで、グループのみんなに明け渡していく」ことにより、「神の霊による働きかけを自分の言葉で言えるようになっていく」ためのプロセス(過程)だった。
一方、第3ステップは「グループによる識別の段階」で、「神の霊への信頼」が求められる。グループ(共同体)としての識別の過程でまとめられた言葉は、分かち合いの中での個々の体験から離れた「抽象的」なものに思えるかもしれない。それでも「聖霊はそれまでの二つのステップを通して働いてくださった。だから困難を極める第3ステップでも働いてくださる」(前掲書)と、祈りのうちに信頼していくことが必要になる。
小西神父は言う。
「過去の2回の研修会では、私たちシノドス特別チームは霊における会話を紹介し、体験へと同伴する立場でした。しかし各教区の具体的な課題について識別をする今回は、私たちにもこれまでにない不安やしんどさがありました」
シノドス特別チームは2028年の「教会総会」に向け、シノドスの「最終文書」を学び深めるための簡易な「手引書」を今年5月に完成する予定。チームは今回の研修会で、参加者と共に「手引書」の内容も検討した。

(セルヴィ・エヴァンジェリー/写真提供:シノドス特別チーム)
