新教皇レオ14世の教皇就任を記念するミサが6月18日、麴町教会(東京・千代田区)主聖堂でささげられ、信徒ら300人余りが参加した。菊地功枢機卿(東京教区)が主司式し、駐日教皇庁大使のフランシスコ・エスカランテ・モリーナ大司教と日本カトリック司教団が共同司式した。
神が選んだ新教皇
菊地枢機卿は説教で、前教皇フランシスコの働きを振り返るとともに、教皇選挙(コンクラーベ)で新教皇レオ14世が選ばれた過程を話した。
2019年に前教皇フランシスコが訪日した際、菊地枢機卿は東京でのプログラムで前教皇の先導役を務めた。特に印象に残っているのは、教皇ミサで東京ドームの中をオープンカーに乗ってフランシスコと一緒に回った時のこと。菊地枢機卿は、心から喜びの笑顔で集まった人々に手を振り、子どもたちに祝福を与えたフランシスコが「愛といつくしみに満ちあふれた牧者」に見えたと話した。「少しでも倣いたいと思いました」
そして今年5月の教皇選挙では、多くの枢機卿たちは「教皇フランシスコの『コピー』を後継者に選ぶのではなく、イエス自身が最初の牧者として神の民を託した使徒ペトロの後継者を選ぶ『祈りの時』だと感じていた」と振り返った。「既に主ご自身が選ばれているはずのペトロの後継者を私たちの間から見いだすために、ふさわしい識別のたまものを聖霊に願って祈っていました」
教皇選挙前の枢機卿たちの話し合いでは、次の教皇にふさわしい人物の条件として、福音宣教の現場や現実に精通し、規模が大きく国際的な組織の運営にたけていることが挙げられていた。さらには深い霊性とはっきりとした神学の見識を持っていること、という意見も多かったという。
菊地枢機卿は、教皇選挙前までは枢機卿たちの間に「全てを兼ね備えている人物など簡単には見つからない」という雰囲気があったと話す。しかし、教皇に選出されたレオ14世のこれまでの歩みを見れば、ペルーでの司牧経験があり、修道会の総長やバチカンでの司教省長官も務め、聖アウグスチノ修道会の霊性にも通じており、「これほど完璧な人物はいない」という結果になった。「主は自ら(新教皇を)選び、聖霊を通じて枢機卿たちを導いたのです」
菊地枢機卿は、教皇レオ14世にとって「一致」と「平和」は大きなキーワードだと指摘。教皇は6月1日の「家庭・子ども・祖父母・高齢者の祝祭」のミサ説教でこう語っている。
「わたしたちはさまざまですが、一つです。多くの者がいますが、にもかかわらず一つです。あらゆる状況においても、人生のあらゆる段階においても、つねにそうです」
戦後80年の今年は、日本各地で平和に思いをはせる祈りの時が持たれる。菊地枢機卿は「教皇レオ14世の呼びかけに応え、人間の尊厳を守り、一致のうちに平和を打ち立てる世界の実現のために共に働き続けたいと思います」と呼びかけた。
ミサの終わりに、モリーナ大司教があいさつをした。モリーナ大司教は今月9日から11日まで、全世界の教皇庁大使の集まりでローマに滞在し、教皇レオ14世と謁見した。そこで「日本の教会は小さな教会ですが、就任当初から教皇様は日本の皆さんに愛されています」と伝えたのだという。モリーナ大司教は、教皇が日本の全ての人々、特にカトリック教会の人々のことを思っていたと話し、こう呼びかけた。「私たち皆の愛情・従順と祈りで、教皇様とのつながりを深めていきましょう」
ミサに参加した大津里奈さん(33/東京・葛西教会)は、ミサ説教の「教皇選挙では神様の中では既に(新しい)教皇様が決まっていて、枢機卿様たちが聖霊の導きを願って祈ることで(新教皇を)見いだしていく」という話が印象に残ったと話した。
夫の唯(ゆい)さん(38/同教会)は、自分が所属する葛西教会では教皇レオ14世と同じ聖アウグスチノ修道会の司祭が司牧しているので、新教皇を身近に感じているという。「今日は(ミサに)来られてよかったです。菊地枢機卿様から直接教皇選挙の話を聞くことができました」
