2月2日の「世界奉献生活の日」を迎えるに当たり、奉献生活者がそれぞれの召命の恵みに感謝し、特に初誓願10周年の奉献生活者たちを祝福し祈るミサが1月31日、東京・千代田区の麴町教会主聖堂でささげられた。ミサ前には4人の奉献生活者の召命体験の分かち合いも行われた。奉献生活者と信徒ら約300人が集い、会場に来ることができない兄弟姉妹のためにオンライン配信もされた。
神様の愛に生き、分かち合うために生きる
分かち合いをした一人、ショファイユの幼きイエズス修道女会の曽根聖羅(せいら)修道女は、自身の召命の歩みと日々の奉献生活について話した。
曽根修道女は初めに「奉献生活とは特別なことをする生き方ではなく、与えられたいのちをどのように生きるのかという問いに応える道」だと話した。
その原点は幼い頃の体験にある。1歳の誕生日を迎える前、曽根修道女は心肺停止でいのちの危機に陥ったが、両親の必死の応急処置で一命を取り留めた。そのことを幼い頃に聞かされた時、「私は何のために生まれて、何のために生きているのか」という問いが生まれた。この問いは形を変えながらも、曽根修道女の人生に繰り返し浮かび上がってきた。
青年期になると、「人生は一度きり。だから楽しまなくては」という価値観に流され、やりたいことに全力を尽くした。その時は楽しかったが、その後に残ったのはむなしさ。楽しさだけでは「いのちの問いに、十分に応えることができませんでした」。
社会人になって数年後、今度は「人生のどん底」だと思える苦しい経験をし、その現実から逃げるように修道会の黙想会に参加した。みことばを聞き、静けさの中で祈るうち「自分のいのちはどんな時も神様の愛の中で生かされている」ことに気付いたのだという。
曽根修道女は、修道女たちの姿を通して、福音を聞くだけではなく分かち合って生きる生き方に心引かれるようになっていく。家族や親しい人と離れることは大きな決断であり、召命の誘いからは逃げていたものの、やがて「無理だったら帰ろう」という気持ちのまま、神を信頼して一歩踏み出した。
「奉献生活は、物を持たないということ以上に不安、執着、こだわりなどの心の荷物を手放すことの方がはるかに難しいのです。祈りの中で、神が私の人生全てに責任を持って歩んでくださるという確信が持てた時、自分で自分の人生をどうにかしようとする思いから手を離した瞬間、深い信頼と平安が心に残りました」
現在、曽根修道女は幼稚園教諭として使徒職に就いている。子どもとの関わりでは、自分の力ではどうにもできないと思う時もある。しかし子どもの成長を通じて、神が一人一人のいのちに信頼のまなざしを注いでいることが分かるのだという。終生誓願宣立1年目の曽根修道女の、いのちの問いへの答えは「神様の愛に生き、その愛をまだ知らない誰かと分かち合うために生きる」ことだと話した。

希望と喜びを証しする者に

ミサを主司式した菊地功枢機卿(神言修道会)は説教で、1月6日に聖なる扉が閉められるまでの希望の聖年を通じて、「(私たちは)希望の光を全ての人に届けることができたでしょうか」と会衆に問いかけた。
そして「シノドス的教会とは、希望をもたらす巡礼者として共に歩み、生きる共同体となること」だと指摘。菊地枢機卿は、 1月7、8日にローマで開かれた臨時枢機卿会議で、教皇レオ14世は「多くの人の声に耳を傾ける姿勢」を教皇自身と教会全体が持つことの重要性と、シノドス的教会となる道を継続することを明言したことを紹介した。
また奉献生活者の役割の一つは「率先して真の霊的生活を生き、その共同体の中で教会のシノドス性を具体的に生き、希望と喜びを証しすること」だと述べた。社会は希望を必要としており、いのちの尊厳を守られる社会を生み出すようにと願った。
ミサの終わりに奉献生活者の担当司教である山野内倫明(みちあき)司教(サレジオ修道会/さいたま教区)が、初誓願宣立10周年の奉献生活者たちを祝福し、記念品を贈った。山野内司教は、ヨハネによる福音書15・16-17にあるように、神が召命の道に招き「わたしの名によって父に願うことは何でも与えられる」のだから、神の力を信じ、イエスの名によって困難を乗り越えていくようにと励ました。

召命を新たにする
ミサに参加したレ・テイ・トゥ・フオン修道女(31/福音史家聖ヨハネ布教修道会)は、来日10年目。「自分の召命を新たにされました。(仲間が)自分と同じ召命の道を歩んでいることで、特別に分かち合わなくても、顔を合わせて、元気そうな様子を見て力づけられました。外国人同士、日本で生活する者として(日々の使徒職などで)同じ悩みを持っているので(励まされ)、くじけずに頑張ろうと思いました」
セルヴィ・エヴァンジェリー会員でベネズエラ出身のメンドザ・ダニーさん(54)は、コロナ禍を経て10年ぶりに来日した。「(今日の集まりに)希望がありました。日本の宣教は難しいですが、希望の種を皆の心に植えるように頑張りたいと思いました」
初誓願10周年の祝福を受けた橋本晶子修道女(50/援助修道会)は、カリタスジャパンの秘書をしている。「久しぶりに仲間たちや養成時期にお世話になった神父様たち、先輩たちに出会い、皆さまの支えとお祈りあってのことだと思い返しました」と、節目の再会に感謝していた。
奉献生活者のミサは、麴町教会のYouTubeチャンネルで視聴することができる。
