「世界広報の日」記念講演会 「心を大切に」と呼びかけた前教皇フランシスコ

「世界広報の日」(復活節第6主日/今年は5月25日)は、福音宣教の分野でも特に新聞やインターネットなどのメディアを用いた宣教について教会全体で考え、祈りや献金をささげる日だ。今年1月に発表された第59回「世界広報の日」教皇メッセージで前教皇フランシスコが伝えたかったことを、阿部仲麻呂神父(サレジオ修道会)が解説する講演会が6月14日、聖パウロ修道会若葉修道院(東京・新宿区)で開かれ、信徒ら約70人が参加した。

 「ケアの文化」と「相手を思う心」

 前教皇フランシスコは、同メッセージの今年のテーマとして「あなたがたが抱いている希望について、柔和に分かち合いなさい」(一ペトロ3・15~16参照)を選んだ。阿部神父は、そこには前教皇の「ケアの文化」をつくり、「相手を思う心」を忘れないように、という思いが込められていると指摘した。「世界中で今、柔和さ、優しさが欠けていることを前教皇が心配していたことが伝わってきます」
前教皇は2015年の回勅『ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に』231項で、他者の苦しみに注目し、愛の実践を心掛ける「ケアの文化」を推進するよう促している。阿部神父は「教皇フランシスコはあらゆる人を『自分の大切な相手』だと理解して、受け入れようと努力していたのだと思います」と話し、広報活動に携わる人は「相手の立場に立って報道する」ことが大切だと述べた。
 また阿部神父は、前教皇が教皇就任以来12年間、一貫して「心を大切に」するよう訴えてきたことを指摘。昨年10月に発表した前教皇最後の回勅『Dilexit nos』(ディレクシット・ノス/邦題ならびに邦訳時期未定)でも、信者たちにイエス・キリストと心を重ね合わせるよう勧めていることを説明した。
 講演の最後に阿部神父は「自分が使う言葉が、他者の人生を180度変える力を持つことを意識して生きると、言葉の使い方が慎重に、思いやり深くなります」と話した。
 講演会に参加した成願(じょうがん)洋子さん(75/神奈川・百合ヶ丘教会)は、「身近な方に自分の(思いやりの)心で寄り添い、言葉をかけることから(愛が)広がっていくんだな、私でもできるんだなと思いました」と話していた。

参加者の質問に答える阿部仲麻呂神父
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