イエズス会会員で日本人最初の司祭であり、迫害によって1622年に長崎で処刑されたセバスチャン木村のブロンズレリーフが完成し5月8日、日本カトリック神学院(東京・練馬区)で除幕式が行われた。司祭・神学生らが見守る中、日本カトリック列聖推進委員会委員長の大塚喜直司教(京都教区)がレリーフを祝福し、献香した。
日本カトリック列聖推進委員会は、1867年に教皇ピオ9世によって列福されたセバスチャン木村を筆頭とする205人の殉教者たちの列聖の実現と、司祭召命が増えることを願い、このレリーフの制作と設置を進めてきた。

祈りを象徴する砂時計
レリーフの中央には、両手を広げて立つセバスチャン木村、その周囲には、セバスチャン木村の宣教活動を象徴する場面が配置されている。足元には聖書の教えを説き、病者に塗油を授け、ミサをささげる様子が刻まれている。その上には捕縛され、火あぶりによって殉教する場面が描かれている。
除幕式後の講話で、神学院の養成者を務める浅井太郎神父(名古屋教区)は、セバスチャン木村は砂時計を持ち歩いて正確に時間を計り、祈りと黙想を欠かすことがなかったことを紹介した。レリーフ左下には、聖書の教えを説くセバスチャン木村の膝前に置かれた砂時計に、幼子が手を伸ばす様子も表現されている。

レリーフを制作した画家の安藤真樹(まき)さん(75/群馬・前橋教会)は、キリシタン研究者の川村信三神父(イエズス会)の話を聞いたり、時代劇の風俗を参考にしたりして、構想を練ってきた。これまではイコンを制作することが多く、西洋人の顔ばかり描いていたが、今回の作品制作で日本人を描くことに挑戦した。仕上がってみると「自分は(西洋人ばかりでなく)日本人の顔も見ていた(無意識に観察していた)んだな」ということに気付き、驚いたという。「私の人生そのもの」と言える作品になったと話した。
神学科2年の今井克明神学生(東京教区)は、「砂時計がセバスチャン木村の祈りの象徴だとしたら、それに手を伸ばす子どもは信仰を伝えていくことの象徴になるのかなと思いました。私たち神学生は信仰を伝えたいと思ってこの場(神学院)にいるので、いいものを頂いているんだなと思いました」と感想を述べた。