大好きな雑誌のコラムが終わりたり一編のコラムに雑誌は軽く 那須塩原 林 秀雄
【評】愛読していた雑誌のコラム、連載が終わったことにがっかりする作者。たった「一編のコラム」だが、雑誌の重さは内容次第との把握、「軽く」なったとの表現が勘所。
浦上の松明行列火を継いで被爆マリアの涙拭いつ          長崎 服部のりこ
何処からか高き空より二羽の鳩吸い込まれゆく平和の鐘に      東京 向井美和子
幾十たび回心してもあたらしくならない我といふ革袋        川崎 印出美由紀
会話無き日々を過ごししわが身には歌ミサ嬉し甦りの時       横浜 永井 栄司
大空に飛行機雲の十字架よ平和への道天に願いを          福岡 山口 春江
梨二つ到来ものをお裾分け昭和の残る近所づきあい         東京 千葉 明子
聖母の日教会の園ササユリが目にもまぶしく白く輝く       名古屋 富井 弘光
片麻痺の姉の傍へに身をよせて寝息を聞きて夕べ安らぐ       秦野 遠藤 伸枝
やわらかいバラの芽が春の陽を浴びるすくすく育て小さきものよ   岡山 宮崎 清子
(作品の応募方法は短歌応募フォームをご覧ください)
◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎
◎空蟬の生きた証を手のひらに   草加 長谷部禎子
【評】抜殻となった空蟬にも注ぐ命への愛情
◎退院の日には青田となつてをり  和泉 中里 君子
【評】入院の歳月を季題に託した感謝の心
夏の雲見上げ黙想会前夜      甲府 新井 志音
原爆忌赦しと和解鐘共に      調布 田邉 久義
耐へ難き残暑続くや翁の身     府中 荒井 美邦
千代紙でつくる封筒白木槿     東京 草間をり絵
響きくる蜩の声万朶かな     四日市 城田 一子
蝉しぐれ古き記憶を脱ぎ捨てて   秦野 小泉早由美
やうやくの試歩の道すぢ風薫る   吹田 野村 愛子
黙祷の黙はひとつに原爆忌     神戸 平尾 孝子
桃を剥く指先のあと実に残し    豊中 岩田 都世
とりあへず一品出すは冷奴   丹波篠山 高岡すみ子
海眺む一つの桃を分け合つて    松山 丹下はつみ
去りし人野分の音の眠れぬ日    神戸 高橋たづ子
夢一瞬父のハグする夏の夜     豊中 成瀬きよみ
名にし負ふ見せばや咲きて誇らし気 福岡 三谷 淑美
緩やかに初鴨を待つ水面かな         選者吟
(作品の応募方法は俳句応募フォームをご覧ください)

 
	 
			 
			 
			 
			 
			 
			