年間第21主日 8月24日 ルカ 13・22ー30 イエスは神の国そのもの

 神の国に入ること(救い)を巡ってのイエスの教えが本日のルカ福音書の内容です。
 「主よ、救われる者は少ないのでしょうか」という質問に対して、イエスは「狭い戸口から入るように努めなさい」と答えています。また、神の国に「入ろうとしても入れない人が多いのだ」とも言っています。神の国に入るのはとても難しく、救われる人はそんなに多くはないと受け取れるようなイエスのことばです。

 ところが、後半部分を見てみると「アブラハム、イサク、ヤコブやすべての預言者たちが神の国に入っている」「人々は、東から西から、また南から北から来て、神の国で宴会の席に着く」とあります。多くの人たちが神の救いにあずかっている様子が描かれています。
 果たして、救われる人は多いのか少ないのか、よく分かりません。しかし、神が全ての人の救いを望んでおられるのは確かなことです。

 イエスは神の国の戸口はいずれ閉じられてしまうから気を付けなければならないことを例えで語っています。
 神の国の戸口が閉じられてしまった後では、どんなに後悔しても、言い訳をしても、決して再び戸口が開かれることはないと断言しています。これはモタモタしないで神の国に入ることができるような生き方をしなさいという呼びかけでしょう。
 また、神の国の戸口はもともと広いものなのに、それを自ら狭くしている者たちへの厳しいことばです。イエスが語る福音をかたくなに受け入れようとしない人々への警告でもあります。

 さて、「主よ、救われる者は少ないのでしょうか」という質問は、イエスが町や村を巡って教えながら、エルサレムへ向かって進んでおられた時に出されたものです。エルサレムとは、言うまでもなく十字架が待ち受けている地です。
「狭い戸口から入るように努めなさい」と教え、十字架の道を歩むイエスの生き方の中に神の国があります。イエスは神の国そのものです。
 神の国とは場所や空間のことではありません。神による支配という意味で状況・状態を表します。いのちを慈しむ神の愛に満ちあふれている状況・状態が神の国です。全ての人が神に愛されていることに信頼し、人を愛し、ゆるす生き方をする時、そこに神の国が実現していきます。
(立花昌和神父/東京教区 カット/高崎紀子)

  • URLをコピーしました!
目次