【バチカン4月11日CNS】教皇フランシスコは4月10日、突然バチカンの聖ペトロ大聖堂内に私服で現れ、祈るとともに大聖堂内の修復作業を視察した。教皇庁広報局は、教皇の健康状態が明らかに改善しているしるしだとしている。
88歳の教皇は専属の看護師が押す車いすに乗り、補助の酸素を吸入する鼻腔カニューレ(挿管)を着けて、同日のちょうど午後1時に大聖堂内に入った。バチカンニュースによると、聖ピオ10世教皇の墓所で祈るためだったという。

赤ちゃんを祝福する教皇フランシスコ
(OSV News photo/Luiz Gil, Handout via Reuters)
教皇庁広報局は11日、教皇が側近に、祈るために同大聖堂内に連れて行くよう頼んだのだと明らかにした。
「教皇は大聖堂内で祈れて、人々に会えたことに喜んでいた」と同広報局は付け加えた。
観光客や巡礼者たち、大聖堂内で働く司祭たちさえも驚いていた。
「とても感動しました」と同大聖堂祭式者の一人、バレリオ・ディ・パルマ神父はバチカンニュースに話した。「涙で目がかすみました。それで写真も撮れませんでした」
もちろん、大聖堂内に居合わせた他の人々は携帯電話で写真や動画を撮影してソーシャルメディアに投稿していた。赤ちゃんを祝福し、少年と話す様子が載っている。
教皇フランシスコは白いカソック(祭服)もズケット(円形の帽子)も着けていなかった。帽子はかぶらず、黒いズボンに白いシャツといういでたちで、胸と両腕には、しま模様の毛布を掛けていた。
補助酸素吸入なく英国王夫妻と会見
教皇は3月23日に38日以上も入院していたローマ市内のジェメッリ総合病院から退院していた。呼吸困難で入院してから発症した両肺の肺炎や気道の複数菌感染症などの治療を受けていた。
教皇の医師団は教皇の退院に際して、2カ月間の療養を勧め、屋内での大人数との面会は避けるよう求めていた。教皇はバチカンに戻った後の2週間は、宿舎にしている「聖マルタの家」の居室と執務室にとどまっていた。教皇は毎朝、秘書たちと共にミサをささげ、物理療法と呼吸療法を続けつつ書類仕事をしていた。
退院後2週間が過ぎた4月6日、教皇は「病者と医療従事者の祝祭」閉祭ミサの最後にサンピエトロ広場に予告なく現れ、会衆を驚かせた。人々に「良い日曜日を」とあいさつし、祈りへの感謝を伝えた。
教皇フランシスコは4月7日には教皇庁国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿と会い、9日には英国のチャールズ3世国王夫妻と会見した。
同国王夫妻との会見は20分間に及び、教皇はその間、酸素吸入を必要としなかった、と教皇庁広報局は明らかにし、酸素吸入なしで過ごせる時間が増えていると付け加えた。
