教皇、予告なく現れる 病者と医療従事者ミサ後

【バチカン4月6日CNS】教皇フランシスコは4月6日、バチカンのサンピエトロ広場に集まった病者と医療従事者たちの前に突然、車いすに乗り、鼻腔カニューレ(挿管)を着けて現れてあいさつし、集まった人々を驚かせた。
 「皆さん、良い日曜日を。ありがとうございます」と教皇はこわばった声で人々に語りかけた。
 「病者と医療従事者の祝祭」閉祭ミサの最後に教皇フランシスコが現れると、広場に集まった数千人は驚き、歓声を上げた。教皇付きのマッシミリアーノ・ストラッペッティ看護師が教皇の車いすを押して、教皇は聖ペトロ大聖堂内から広場に姿を現した。
 短いあいさつの後、教皇フランシスコが広場を後にする間、白衣の医師たちや道化師の赤い鼻を着けた人、車いすに乗った人たちが教皇に拍手を送った。
 教皇が公に姿を現したのは、3月23日にローマ市内のジェメッリ総合病院から退院して以来で、教皇は同病院で5週間以上、呼吸困難と両肺の肺炎の治療を受けていた。
 教皇庁広報局によると、教皇フランシスコは広場に現れる前に、聖ペトロ大聖堂内でゆるしの秘跡を受け、聖年で開いている聖なる扉を通ったという。
 教皇はミサ自体には参加しなかったが、同大聖堂の中央バルコニーに掲げられた教皇フランシスコの紋章をあしらった垂れ幕で、教皇の霊的な寄り添いは示されていた。

 苦しむ人を受け入れない「残酷で非人間的な社会」

 教皇庁福音宣教省副長官のリノ・フィジケッラ大司教が教皇の名代としてミサを主司式し、教皇の説教を代読した。
 痛みや病、人間としての弱さのただ中にあってさえも、「神は私たちを独りにされることはありません。そして、まさに私たちの力がとても及ばないところで、私たちが自分を主に明け渡すなら、私たちは主の現存による慰めを体験することができるようになるのです」と教皇の説教は強調する。「主ご自身は人となることによって、私たちの弱さの全てをご自分のものとされることを望まれました(フィリピ2・6〜8参照)。主は苦しむことの意味をご存じなのです(イザヤ53・3参照)」
 祝祭主催者側の見積もりによると、「病者と医療従事者の祝祭」の間にローマを訪れた巡礼者は約2万人に上り、世界90カ国以上から病者や医師、看護師や薬剤師、理学療法士などの医療従事者が集まったという。
 教皇フランシスコは説教で、弱い立場に置かれている人々を疎外せず、共同体に欠かせないメンバーとして受け入れるよう社会に促す中で、教皇ベネディクト16世の言葉を引用する。「苦しむ人を受け入れず、…心から苦しみを担うことのできない社会は、残酷で非人間的な社会です」(回勅『希望による救い』38)

4月6日、「病者と医療従事者の祝祭」閉祭ミサ後、バチカンのサンピエトロ広場に集まった人々にあいさつした教皇フランシスコ(CNS)


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