教皇は職務を継続する 教皇庁国務省長官が明言

【バチカン3月31日CNS】教皇フランシスコはローマのジェメッリ総合病院に入院中で容体が最悪だったときでさえも、カトリック教会を治めていたが、時にはフルネームで署名する力もないように見えた、と教皇庁国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿が明らかにした。
 ローマ教皇庁の多くの機能を調整する役目を果たしているパロリン枢機卿は、教皇が幾つかの文書に「F」とだけ署名していたのは事実だと認めた。
 「そうです」と同枢機卿は、イタリアの日刊紙「コリエーレ・デラ・セラ」に語ったが、「今はフルネームで署名しておられます」と付け加えた。
 「確かに理想的な状況ではありませんでした」と同枢機卿は3月29日、「コリエーレ」紙が公表したインタビューで続ける。「ただ強調しておきますが、教皇は依然として教会を治める立場にあります。そして私たちは教皇が帰宅できたことを喜んでいます」
 教皇は2月14日から3月23日までジェメッリ総合病院に入院し、気管支炎と両肺の肺炎、複数の感染症の治療を受けていた。医師団は、教皇が何度か呼吸危機に陥り、死の危険もあったと明らかにした。
 教皇はバチカンで宿舎にしている「聖マルタの家」の居室に戻り、医師団の2カ月間の静養を勧める指示に従って、なかなか治癒しない真菌症の治療と呼吸法や運動療法を含む呼吸器物理療法を続けている。

 教会を治めるが職務の委任はある

 ローマ教皇庁の職務については「本質的に何も変わっていません」とパロリン枢機卿は説明する。教皇は静養が必要なので、「教皇だけが決断できる案件」についてだけ文書を教皇の元に届けることにしているという。
 「教会の統治は教皇の手の内にあります」と同枢機卿は強調する。「それでも、さらにとても多くの日常的な業務があり、教皇庁の協力者たちは教皇に相談することさえなく進めることができます。以前に受けた指示や既存の規定に基づいてのことです」
 教皇庁の全部署は教皇の名の下に働いていると同枢機卿は続ける。「当然のことながら、より重要な決断は教皇によってされなければいけません。ただ、教皇から与えられた指針に従って、各部署の中で決められる案件もあるわけです」
 教皇フランシスコは特定の職務を委任することもできるとパロリン枢機卿は言う。カトリック信者は教皇が回復期にある間、そうした事例を目にするかもしれない。
 例えば、「ティーンエイジャーの祝祭」の間の4月27日に予定されている福者カルロ・アクティスの列聖式が挙げられる。福者アクティスはイタリアの少年。インターネット上で宣教し、2006年に白血病のため15歳で死去した。
 教皇フランシスコは列聖式の司式を枢機卿に委任することもできるが、3月末の時点では誰にも委任していない、とパロリン枢機卿は明らかにした。「その時に教皇の体調がどうなっているかによります」

3月14日、バチカンでささげた教皇フランシスコのためのミサで説教するピエトロ・パロリン枢機卿(CNS)
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