核兵器禁止条約の発効5周年となった1月22日、同条約の批准拡大を願う「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」(PWNW)の日米5司教の名によって声明が発表された(→全文)。
声明では、祝意を表すとともに、同条約に賛成する立場を示している。また、以下のように核兵器保有国の問題に触れながら、世界の指導者に対して、核兵器を廃絶するための核軍縮を具体的に進展させるよう求めている。
核兵器保有国は、1970年に発効した核不拡散条約(NPT)に基づいた軍縮義務を果たすことなく、核による威嚇や核兵器を永久に保持するための大規模な「近代化」を続けている。そうした中、2021年に発効した核兵器禁止条約は、「平和の光」に向けた「大きな一歩」だったと述べている。
同条約の国際法的効力が及ぶ範囲は批准国に限られるが、その「道義的力」は「地球規模で普遍的」だと指摘。5司教は、この条約が核兵器保有国に対し、「核不拡散条約に基づく軍縮義務」を遂行するよう、「道義的な圧力」を及ぼすことを願い、祈ると続けている。
発効5年の節目に、80年続く核の脅威に終止符を打つため、世界の指導者に対して「核軍縮に向けた測定可能な進展」を示すよう求めるとともに、「具体的な行動」を強く促している。
声明は、核兵器保有国が核軍縮に向けた具体的な進展を見せるべき時は「とっくに過ぎてい」ると、対応の遅さを批判。バチカンが「核兵器の完全廃絶への揺るぎない決意」によって、国家として最初にこの条約に署名・批准したことに触れ、核廃絶がカトリック教会の悲願であることも示している。
声明を発表したのは、米サンタフェ教区のジョン・ウェスター大司教、米シアトル教区のポール・エティエンヌ大司教、長崎教区の中村倫明(みちあき)大司教、広島教区の白浜満司教、そして長崎教区の髙見三明名誉大司教。いずれも「過去に核兵器による被害を受けたか、または今もその危険にさらされている地域を管轄する」司教たちだ。
声明は、この5司教と核兵器廃絶に向けて協働するワシントンDC教区のロバート・ウォルター・マケルロイ枢機卿が原爆投下から80年となった昨年、広島を訪れた時に「宣言」したという以下の言葉で締めくくられている。
「私たちは核拡散と危険を冒す世界に生きることを拒みます。世界の核兵器が破壊されるまで、私たちは抵抗し、組織を整え、祈り、決して諦めません」
始まりは平和巡礼
この声明は、今年11月から12月にかけてニューヨークで開催される核兵器禁止条約の再検討会議に向け、PWNWが進めていく活動を視野に発表された。
白浜司教によれば、PWNWでは同再検討会議に合わせ、現地で平和巡礼を行うことを検討しているという。
PWNWは、2023年8月に平和巡礼のために来日していた前掲の米2司教と日本の3司教の間で同月9日、長崎で結ばれたパートナーシップ。目的は、核兵器禁止条約の批准拡大を後押しし、核兵器の開発、実験、生産、輸送、保有、使用または使用の威嚇による、あらゆる破壊的で非人道的な被害と脅威から、全てのいのちと環境を守る活動を推進強化していくことにある。
2024年8月5日に行われた広島教区の平和行事では、5司教の名により、カトリック教会の諸団体に対し、それまで司教レベルでのパートナーシップにとどまっていたPWNWへの加盟(入会)が呼びかけられた。
以後PWNWは、カトリック教会諸団体の自主的・国際的なネットワークを構築し、加盟する諸団体相互の情報共有、交流、協力を促すパートナーシップとなっている。現在、12団体が「賛同団体」として加盟している。内訳は、米国、韓国、日本の複数の教区、日本のカトリック学校や修道会など。

「原爆犠牲者追悼と平和祈願の意向のミサ」中、当時の
駐日ローマ教皇庁大使レオ・ボッカルディ大司教(右から
2人目)立ち合いの下でパートナーシップ締結を宣言する
PWNWの5司教。左から髙見三明名誉大司教、ポール・
エティエンヌ大司教、中村倫明大司教、ジョン・ウェスター
大司教と、写真右端の白浜満司教(写真提供:長崎教区)
