日本カトリック教育学会・特別活動Ⅲ(同学会担当理事/川野祐二エリザベト音楽大学理事長)は、大学をはじめとするカトリック学校が、建学の精神を教職員にどのように伝え、学校運営に生かしているのかを情報共有し、共に考える研修会を2023年からこれまでに5回開いてきた。その最終回となる研修会が1月10日、東京・千代田区のイエズス会の岐部ホールで開かれ、会場とオンライン合わせてカトリック学校の教職員ら約50人が参加した。
特別活動Ⅲは、大学の研究者らを中心にカトリック教育の研究や実践に取り組むグループ。
3年間を振り返り、未来を見据える
これまでの5回の研修会で建学の精神について語った4人の登壇者が、活動の振り返りやその後の取り組み、これからの展望について話した。
第2回(23年10月)で、中・高の現場がカトリック大学に期待する役割について話した鳥越政晴神父(サレジオ修道会/サレジオ学院中学校・高等学校校長)は、学校現場における障がいなどがある生徒への合理的配慮や不登校の生徒への関わりの基本的な姿勢について、「三位一体の神」と「原罪」をキーワードに説明した。
鳥越神父は最近、ミサの冒頭の、三位一体の神の交わりに招く祈りに改めて心を打たれたという。「三位一体の神」は「疎外感の苦しみに寄り添い、裁かない神」のイメージであり、互いの違いを抱擁していく姿勢が大切ではないかと話した。
そして「原罪という闇の状態があるからこそ、そこに差し込む光、希望としての神様の恵みの大きさが分かる」とも指摘。相手を裁かず、謙虚な心で寄り添うことの大切さを強調した。
第3回(24年6月)で、南山大学の建学の理念継承の取り組みを紹介した星野昌裕氏(同大学総務・将来構想担当副学長)は、昨年6月に実施した海外研修について話した。南山学園の設立母体である神言修道会の創立者、アーノルド・ヤンセン神父ゆかりの地を訪ねる本研修には有志の教職員20人が参加。同修道会がどのような考えで日本に宣教師を送り、同学園をつくったのかを考える機会になった。
同学園はこれまでに2度の法人合併を経験している。現在、神言修道会、聖霊奉侍布教修道女会(聖霊会)、聖心(みこころ)の布教姉妹会の三つの修道会が学校運営に関わる同学園では、統一された建学の理念が語られてこなかったという。星野氏は、学園としてどのような建学の理念を語るべきなのかについて話し合いを進めていると話した。
星野氏と共に第3回で、清泉女子大学の職員研修会について説明した吉岡昌紀氏(同大学元理事長)は、偏差値で大学を評価することの問題点や、文部科学省が今年度から本格実施した全国学生調査、大学の教育内容を示す三つのポリシーなどについて解説。「大学は4年間で学生をどう育てるか、もう一度真剣に考えるべき」だと話した。
第4回(25年1月)で、エリザベト音楽大学が堅実な資産運用によって経営が安定しており、教育環境が整えられていることを紹介した川野祐二氏は、同大学が小規模だからこそ運用による経営が成り立つと、その仕組みを説明した。
川野氏は研修会の終わりに、これまでの6回の登壇者と参加者への感謝を述べた。特別活動Ⅲは、来年度に研修会のまとめとなる報告書を作成する予定。
特別活動Ⅲの運営委員で、清泉大学教授の稲葉景さんは「カトリック大学の教職員などが集まって、建学の精神に基づいた運営についてざっくばらんに話す機会は今まであまりなかったと思います。この3年の間にもカトリック大学の募集停止や共学化、法人合併など大学を取り巻く環境に大きな変化がありました。今は各校だけではなく、全体で連携しながらカトリック大学を守ることが必要です。(研修会が)今回で一区切りとなるのは残念ですが、今後も情報交換する場ができることを期待しています」と、3年間の活動を振り返った。

