第2回アジア宣教大会「希望の大巡礼」 32カ国から900人が参加 宣教への熱意新たに

 アジア32カ国から司教、司祭、修道者、信徒らが集って共に祈り、福音宣教について話し合う「第2回アジア宣教大会」が11月27日から30日まで、マレーシアのペナンで開かれ、約900人が参加した。国の状況や文化の異なる参加者は、4日にわたるプログラムを通して交流を深め、各自の使命への熱意を新たにした。
 今回の宣教大会は、開催地マレーシアにイスラム教徒が多い状況に配慮し、「希望の大巡礼」の名称で呼ばれた。大会テーマは、「東方の諸民族としてともに旅し…別の道を通って自分たちの国へ帰って行った(マタイ2・12)」。アジア司教協議会連盟(FABC)の福音宣教局が主催し、教皇庁福音宣教省と教皇庁宣教事業が共催。ペナン教区が事務局を務めた。

11月27日の開会ミサ

 多様性のアジアで 誰もが居場所を持つ世界を

 27日には会場となったホテルのホールで開会式が行われ、地元の鼓笛隊が先導してマレーシアの大臣やペナン教区の枢機卿らを迎え入れた。FABC福音宣教局議長のジョージ・パリッパランビル司教は、「アジアは全ての宗教の発祥地であり、驚くような多様性の故郷だ」と述べ、「私たちは地の塩、世の光、変化の担い手として、誰もが居場所を持つ世界をつくり出すことを誓います」と語った。フィリピン出身で、バチカンの福音宣教省初期宣教部門副長官のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、大会のシンボルとなるろうそくに火をともした。

大会シンボルとなるろうそくに火をともすタグレ枢機卿

 日本からはエドガル・ガクタン司教(仙台教区)、森山信三司教(大分教区)、中野裕明司教(鹿児島教区)、酒井俊弘補佐司教(大阪高松教区)はじめ司教、司祭、修道者、信徒や信徒宣教者ら21人が参加。菊地功枢機卿(東京教区)はFABC事務局長として司教たちの分科会発表と、アジアで活動する六つの宣教グループの発表の司会を務めるなどしたほか、共同記者会見の席にも着いた。

 学び、分かち合い、交流した参加者

 会期中、参加者は毎日共にミサをささげ、各国の枢機卿らによる、アジアの教会をテーマとした講演を聞いた後、小グループに分かれて「霊における会話」で分かち合いを行った。
 午後にはテーマごとの分科会で学び合った。分科会のテーマは、「デジタルメディアの意義」「シノダリティー(共に歩むこと)」「青年の同伴と育成」「多文化・多宗教のアジアでの生き方」など、多岐にわたった。
 夕食後には、交流の場が設けられた。各国参加者が歌や踊りなどを披露し合う「各国文化プログラム」の時間に、日本の代表団は軽快な音楽でソーラン節を披露して喝采を浴びた。巡礼地として知られる「聖アンナ小バジリカ」で行われたタグレ枢機卿主司式のミサには、大会参加者だけでなくマレーシア国内の司教や司祭、一般信徒も多数参列。ミサ後には国際的なカトリックバンドや、シンガーソングライターとして活躍する司祭によるコンサートも行われた。

一般信徒も多数参列した「聖アンナ小バジリカ」でのミサを司式するアジア各国の聖職者たち

 日々の典礼でも各国の参加者が奉仕した。大分教区の青年信徒、大口暖翔(はると)さんが28日のミサでろうそくを掲げて入堂行列に加わったほか、鹿児島教区の壮年信徒、後藤正道さんが30日のミサで答唱詩編の詩篇部分を独唱した。
 また韓国と日本からの参加者を中心に、青年らが共に昼食を取って交流する場面もあった。

日韓の青年らを中心にした昼食のテーブルで

 参加に感謝 「今後に生かしたい」

 大会を終えた日本からの参加者たちは、喜びを語った。
 レデンプトール会の石田望神父(51)は、「希望にあふれている、そしてエネルギッシュなアジアの教会にとても驚かされました」と話す。帰国後は、「アジアの力強い風」を受けて、「福音の種をまいていきたい」と話した。
 鹿児島純心大学4年生の坂元まりかさんは、「世界は一つの家族だなっていうのをものすごく感じました」と話す。小学校教諭を目指している坂元さんはこの経験をぜひ子どもたちに伝えていきたいと言う。
 大分教区・宮崎教会の山頭牧夫助任司祭(42)は、背景や状況は違っても、皆が同じ信仰を持ち、問題に直面していることが分かったという。今年3月に司祭叙階された山頭神父は「これから新司祭として、皆さんの声をしっかり聴いて、そして皆さんと共に、イエス様と一緒に歩んでいくことができればと思っております」と語った。
 酒井司教は、タグレ枢機卿の話が特に印象深かったという。「(私たちが希望を持つ時、それは)神様に希望を持つのであって、他のことではない、ということです。それは本当に心に残りました。神様に希望をかける、ということで自分が証言していくことを通して、皆さんと一緒にこれから道を歩んでいきたいと思いました」

 大会のダイジェスト動画と参加者の感想は、大阪高松教区のサイトのYouTubeチャンネルで見られる。

日本からの参加者たち
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