山口教会(山口市)で11月3日、「サビエルフェスタ(以下、サビフェス)」が開かれた。広島教区の青年たちを中心とした実行委員会が主催し、今回が3回目(第2回の記事はこちら)。広島教区青年活動企画室(以下、企画室)の協力の下、企画・準備を進め、当日は教区内外からスタッフとして集まった多くの青年が会場を明るく彩った。
マルシェの出店数は前回を上回る25ブース。サビフェスではなじみの中国地方各地の人気店に加え、四国や関東からの出店もあり、1000人余りが来場した。
ここから「教会らしさ」そっと織り込む
サビフェスは、世界から180万人もの青年が集まった2023年のワールドユースデー(WYD)リスボン大会の感動を教区でももう一度味わいたいと、まずは「人の集まる企画」を作ることからスタート。主催責任者の大西勇史神父(広島教区)をはじめスタッフたちが個人的なつながりを頼りに出店依頼を重ね、24年11月の第1回開催にこぎつけた。その際、最初に力を貸してくれたのは地元山口や広島の大人気店の人たちだった。
企画室職員の益田なおさんは、3回目のサビフェスのねらいをこう話す。
「『教会らしくない活動を入口に(教会に親しんでもらおう)』と始まったサビフェスは、今年4月の2回目も盛況に終わりました。3回目では『ここからは教会らしさを少しずつ取り入れていこう。人の集まる企画を続けながら、教会が本当に伝えたいことも形にしていこう』という流れが生まれました」
その初めての試みに最初に手を挙げてくれたのは、カリタス広島だった。能登・輪島の支援ブースとして出店し、震災を乗り越えて丁寧に再生された輪島の伝統工芸・漆器が並んだ。輪島の漆器は開催前から他の出店者たちからの関心も集め、教会の仲間たちの働きが温かく受け取られていることを、スタッフたちもうれしく感じていたという。

また開催数週間前には、お告げのマリア修道会の修道女たちの出店も決まった。はるばる長崎から「ISHIZUE」ブランドのジャムや菓子などを車いっぱいに積み込んで会場入りした。
「ISHIZUE」は同修道会が運営する一般社団法人で、体験を通じて宣教師マルク・マリー・ド・ロ神父の活動を知ることができる「ド・ロさまと歩くミュージアム」の運営や、文化財の整備、食や農、ものづくりに関する活動などを行っている。
教会にいてもベール姿の修道女に会う機会が少なくなった今の時代、来場者が「シスターと直接出会う」ことは貴重な機会であり、実行委員会としても大きな喜びだったと益田さんは振り返った。

サビフェスを締めくくる「テゼの祈り」には、山口県内のカトリック学校の生徒も初めてボランティアとして参加。これまでの教会のつながりも新しい形で再び結ばれた。静かな祈りの時間に若者の声が重なり、会場に柔らかなひとときが流れた。
大西神父は、今回のサビフェスを「初めて小さな形で『教会らしさ』をそっと織り込むことができました。それは押し付けでも説明でもなく、フェスのにぎわいの中でふと立ち止まった時に、自然と触れられる『気付き』として準備されたものだったように思います」と話した。「3回目でようやく『教会として伝えたいこと』を少し置けた気がします。集まってくださる皆さんのおかげです」
サビフェスは来春の第4回開催に向けて、スタッフたちが振り返りを重ねている。憩いの場、集いの場としての教会、そして教会が発信したいメッセージを届ける場として、地域に少しずつ定着しつつある。

