「最終文書」読み、「霊における会話」広めて 大阪高松教区シノドス研修会

 2021年に始まったシノドス(世界代表司教会議)の歩みは現在も続いており、28年10月にはバチカンで「教会総会」が開かれる。シノドスへの理解を深め、一人一人が小教区や共同体で使徒職を担うことを活性化するための研修会が11月8日、大阪市のサクラファミリア(カトリックセンター)で開かれた。
 司祭、修道者、信徒100人余りが集い、23年と24年にバチカンで行われたシノドス総会に参加した菊地功枢機卿の講話を聞き、シノドス総会の参加者が体験した分かち合いの方法である「霊における会話」(→『シノドスハンドブック』参照)を体験した。当日はオンラインでも同時配信された。
 開催にあたっては、事前に大阪高松教区の前田万葉枢機卿と酒井俊弘補佐司教、菊地枢機卿が同教区のウェブサイトで動画で参加を呼びかけ、研修会の目的を説明した。

 教会は多様性を排除しない

 菊地枢機卿は、前教皇フランシスコが「シノドス性」とは「現代における神が望まれる教会であるための道」だと語っていたことを紹介した。教会は聖霊に導かれて存在しているのだから、私たちは聖霊の声に耳を傾けて識別しなければならないと指摘した。
 また菊地枢機卿は、前教皇フランシスコがシノドス最終文書の付記で(『シノドス流の教会――交わり、参加、宣教 《シノドス最終文書》』)で「教義的、倫理的、司牧的議論はいずれも、教導職の介入によって決着するものではないということを強調しておこうと思います」と記している通り、教皇や司教が決定すればこれらの問題が解決するわけではないことにも触れた。
 フランシスコは同文書で、教会には教義と実践の一致が必要だが、多様性を排除するものではないとも語っている。菊地枢機卿は「いろいろな意見を尊重しながら、それでもなおその中から共通するものを見いだしていくということが、とても大切なことになってくるかと思います」と話した。
講話の最後に菊地枢機卿は、28年の教会総会を目指す上で、①シノドス最終文書を読む②「霊における会話」を周囲に広める、の二つを参加者たちに呼びかけた。
 講話に続き、髙山徹(あきら)神父(大阪高松教区)がファシリテーター(進行役)となり、「今日の講演を受けて、特に心に留まったこととその理由」をテーマに、小グループに分かれて「霊における会話」を体験した。

参加者の質問に答える菊地功枢機卿©カトリック大阪高松大司教区

 研修会最後の質疑応答の中で、菊地枢機卿は「霊における会話」などで共同体の優先事項や方向性が明確になったとしても、現在の教会法では、小教区の最終決定権者は主任司祭であり、教区の最終決定権者は司教と定められていると説明。現在バチカンでは10の検討会で「司教の任命」や「(シノドスにおける)女性の投票」などのさらなる検討が行われており、今年の末までに教皇レオ14世に報告される予定だという。菊地枢機卿は「霊的な識別の中で出てきた方向性をどこまで尊重して物事を決めていくかどうかに関して、(検討を経て)教会の在り方が変わっていくかもしれません」と展望を述べた。

 研修会の動画は、大阪高松教区のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=Bsll86s0qL0)で視聴することができる。

閉会のあいさつをする和越敏(かずこし・びん)神父
(コンベンツアル聖フランシスコ修道会)©カトリック大阪高松大司教区
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