パレスチナ大統領と初の会談 教皇、ガザの平和で意見交換

【バチカン11月6日CNS】教皇レオ14世は11月6日、バチカンにパレスチナのマフムード・アッバス大統領を迎えて初会談した。バチカンとパレスチナの包括的合意で、パレスチナ国家の承認とパレスチナでのカトリック教会の活動の自由が保証されてから10年を記念した。
 「友好的な会談の中で、ガザの民間人に対する支援供給と『2国家解決』による紛争終結の緊急な必要性が確認された」と、30分間の会談後にバチカンが発表した声明は明らかにしている。
 教皇レオとアッバス大統領が対面で会談したのは初めてだが、両者はガザでの激しい戦闘が続き、人道危機がますます深刻化していた7月に電話で会話していた。
 パレスチナはガザの領有権を主張していて、2007年にイスラム組織ハマスが実効支配するまで統治していた。05年からパレスチナの大統領を務めるアッバス氏は、ハマスと係争中の主流派政党ファタハに属している。
 教皇レオ14世は11月4日、記者団に、イスラエルとハマスの停戦合意の第1段階が続いていることに感謝しているが、状況は「非常に不安定」だと語った。
 教皇はさらに、イスラエル人がパレスチナのヨルダン川西岸で入植地を拡大していることや、エルサレムのイスラムの三つ目の聖地であるアルアクサ・モスク(礼拝所)前での挑発行動を続けていることについても質問された。
 アルアクサ・モスクは、ムスリム(イスラム教徒)が「ハラム・アッシャリーフ」と呼び、ユダヤ教徒は「神殿の丘」と呼ぶ場所にある。聖書によれば、ここに二度、ユダヤ教神殿が建っていたとされる。
 「ヨルダン川西岸と入植者たちの問題は、本当に複雑です」と教皇は記者団に答えた。「イスラエルは一つのことを言っても、時にそれと別のことをします。私たちは全ての人にとっての正義のために共に力を尽くしていきたいのです」

 「包括的合意」に感謝を表す
 
 アッバス大統領は11月5日、ローマに到着するとすぐに聖マリア大聖堂を訪れ、教皇フランシスコの墓前に白いバラの花束を手向けた。
 「私は教皇フランシスコに会いに来たのです。教皇がパレスチナとパレスチナの国民にしてくださったことを忘れられないからです」と同大統領は記者団に語った。「そして私は、教皇が誰からも求められることなしに、パレスチナ国家を承認されたことも忘れることができません」
 2015年に調印された「聖座(バチカン)とパレスチナ国家の間の包括的合意」で、バチカンはパレスチナを正式に国家として承認し、長年の「2国家解決」支持を改めて確認した。聖地の緊張解決のためには、イスラエルとパレスチナの双方が主権と安全保障、画定された国境を享受するのが唯一の方法だとしている。

11月6日、教皇レオ14世とパレスチナのマフムード・アッバス大統領は、バチカン使徒宮殿の教皇図書室で会談した(CNS photo/Vatican Media)
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