原爆投下後の長崎で、被爆者救護に奔走した3人の少女たちの青春を描いた映画『長崎―閃光(せんこう)の影で』が現在、全国で上映されている。(→関連記事)本作品が今年10月31日、バチカンの上映室(フィルモテカ・バチカーナ)で上映されることが決まった。
本作品の監督を務めた松本准平さんは今回の決定を受けて、次のようにコメントしている。
「本作のバチカンでの上映決定、誠に光栄に思います。暴力の絶えない現代世界の中で、被爆者であった祖父の想いに端を発したこの小さな映画が、特別な使命を帯び、『平和の道具』となり、ヒロシマ・ナガサキを伝えるきっかけの一つとして、広く世界中の人々の心に届くことを切に願います」
松本監督は、上映に合わせてバチカンを訪れる予定。
松本さんと親交のある酒井俊弘補佐司教(大阪高松教区)は今年1月、バチカンで開かれた広報関係者のための聖年行事に日本カトリック司教協議会の広報担当として参加。その際、前教皇フランシスコと会話する機会があった。酒井司教が持参したのは「焼き場に立つ少年」のカードと、本作品の宣伝用チラシだ。
前教皇は長崎の原爆で命を落とした幼子を背負い、火葬の順番を待つ「焼き場に立つ少年」の写真に強い印象を受け、少年のやり場のない悲しみを人々に伝えるためにカードを制作している。
酒井司教が「焼き場に立つ少年」のカードを見せながら「教皇様、この写真を覚えておられますよね」と尋ねると、前教皇は「はい、はい、覚えているよ」とすぐに答えたという。続いて本作品の宣伝チラシを見せながら、「この写真のエピソードも含まれた映画がもうすぐ完成し、今年の夏に公開される予定です。どうか多くの人がこの映画を見るように、(チラシを)祝福していただけませんか」と願い出たところ、前教皇から祝福を受けることができた。
酒井司教は「原爆を投下した国、アメリカ出身のレオ14世教皇様がこの映画を見ることには、大きな意味があると思います」と教皇レオ14世が上映会に参加することに期待を示した。
