長崎教区 80年目の平和祈願祭 中村大司教「平和実現へ 主の手足となって」

 長崎の原爆投下から80年目を迎えた8月9日、長崎教区は「平和祈願祭」を行い、午後6時から長崎カテドラル浦上教会で「平和祈願ミサ」をささげた。中村倫明大司教(長崎教区)が主司式し、「平和実現という使命のために、キリストの手足となりましょう」と呼びかけた。ミサには日本の司教たちと共に8月5日の広島から平和行事に参加してきた米国の4人の司教と、約1200人の信者も参加した。大聖堂に座りきれず、立ったままミサにあずかる人、信徒会館でライブ配信を見ながら参加する人もあった。また被爆の記憶を次世代につなぐため、今年もミサの司会進行は中学高校生が行った。
 福音は、「もし片方の手があなたをつまずかせるなら、切り捨ててしまいなさい」という一節を含むマルコ9章が朗読された。
 説教を行った中村大司教は、80年前、浦上天主堂で被爆した十字架のイエス像が、頭や片手、足のない姿となり、被爆マリア像は目が失われていることを改めて紹介。本来なら、人を傷つけ殺している私たち(人間)こそが福音書にあるように手足や目を切り捨てなければならないのに、主が、マリア様が、代わりに体の一部をなくしてくださったと語り、私たちがキリストの手足となり、平和を実現する使命を果たそうと呼びかけた。
 ミサの初めには、駐日教皇庁大使フランシスコ・エスカランテ・モリーナ大司教が教皇レオ14世からのメッセージ(関連記事はこちら)を紹介。ミサの最後には、米国・ワシントンDC教区のロバート・ウォルター・マケルロイ枢機卿があいさつした。マケルロイ枢機卿は、この地に大聖堂が再建され、活気ある信仰共同体が再興されたことは、神が最も苦難の時に近くにいてくださるという約束の証しであり、神が人間のあらゆる苦しみに対して勝利を収めた証しだと語った。
 ミサの後、信者たちはたいまつを持って、爆心地公園まで祈りながら歩いた。

長崎カテドラル浦上教会で8月9日にささげられた「平和祈願ミサ」での奉納。中村倫明大司教(長崎教区)が主司式した。祭壇には司教団、司祭団と共に入堂した被爆マリア像が置かれている
ミサ後に行われた「たいまつ行列」
  • URLをコピーしました!
目次