「献血で誰かの命を助けたい―」。東京・麴町教会のヨセフホールは6月22日、輸血が必要な人たちを助けるための献血会場に様変わりした。会場には日本赤十字社による血圧測定、問診、血液検査、献血の専用スペースが設けられ、主日のミサに集まったベトナム人信徒を中心に諸条件を満たした94人が献血に協力することができた。
輸血が必要なケースは、約80%が病気の治療で、がんが上位を占める。毎日輸血が必要な人もいるため、日本赤十字社では全国各地の駅前で献血への協力を呼びかけている。ところが、猛暑が続く夏季は外出を控える人が多く、安定的に血液を確保することが難しくなる。今回のように一度に94人が献血するということは、日本赤十字社の関係者が「記憶にない」と言うほど〝奇跡〟の数字だという。
今回で3回目を迎える「教会での献血」を発案したのは麴町教会助任の柴田潔神父(イエズス会)。柴田神父は20余年にわたって220回も献血してきたが、当初は〝趣味〟のような気持ちだったという。しかし、先輩司祭が使用している治療薬が、「成分献血」による血漿(けっしょう)が原料になっていること知り、献血が誰かの命に直結していることを実感する。柴田神父は〝人助け〟という強い思いを抱くようになり、教会を献血会場にすることを思い付いたのだ。
献血協力者の中には、初めて参加したというベトナム人信徒や、近隣のカトリック学校の保護者もいた。会場では、通訳者が献血者の不安をすぐに察知し、丁寧に説明する姿があり、問診の医師も感心していたというほどの協力体制だった。
「予想を超える皆様の温かいご協力を頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。前回(昨年12月)に続いて参加してくださった方、順番が来るまで長い時間待ってくださった方、準備や当日の運営のお手伝いをしてくださった方、お一人お一人に感謝申し上げます。皆様の善意は、キリストの聖体のように『分けて広がる』象徴と感じました」と柴田神父は話していた。
