社会司教委員会 6月27日の死刑執行に抗議声明 「『すべてのいのちの尊厳』守る」

 日本カトリック司教協議会の社会司教委員会(委員長=森山信三司教〈大分教区〉)は7月7日、白石隆浩死刑囚(34)の死刑が6月27日に執行されたことに対し、強く抗議する声明を発表した。
 声明は、死刑に反対する理由として、前教皇フランシスコの言葉「たとえ犯罪者であっても、神のたまものであるいのちを生きる不可侵の権利をもっている」を引用。同じ考えに立つ者として、死刑は「人格の不可侵性と尊厳への攻撃」であると訴えた。
 こうした立場は、国連が10回にわたって死刑の執行停止を求める決議を採択するなど世界的に広がっていること、日本国内でも昨年10月の袴田巌(はかまた・いわお)さんの無罪確定を契機に「死刑制度の不条理性への関心がようやく広がって」きたことにも言及している。
 今回の執行が2022年7月以来、日本で3年間にわたる死刑の無執行(モラトリアム)が実現されようとする直前であったこと、また再審制度の見直し法案が提出された矢先でもあった点にも触れて、「世界的な死刑廃止の流れに逆行する」点から「看過」できないと批判している。
白石死刑囚は2019年、神奈川県座間市で9人を殺害したとして死刑判決を受けた。声明は白石死刑囚について、「本来ならば彼は、その罪の重さに気づき、生涯をかけてその責任を負うべきでした」と述べ、政府は更生や遺族への償いの機会を奪ったと指摘。事件の被害者9人の追悼と遺族の心の平安を祈る一方で、加害者の命にも目を向け、日本政府に対し、死刑制度の見直しと廃止に向けた取り組みを求めている。
全文はカトリック中央協議会ウェブサイト(https://www.cbcj.catholic.jp/2025/07/07/33069/)で読める。

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