◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ
ギリシャ語で回心はメタノイアとう逆さに読めばあいのためなり 日野 広山 弘子
【評】ギリシャ語の「メタノイア」は「悔い改め」「回心」という意味であると説教で聞いた作者。逆さに読むと「愛のため」になる。心の向きを「愛のために」変えようと胸深く刻む姿が感じられる。
教皇がバルコニーから託されたしやがれた声のバトン受かばや 川崎 印出美由紀
アウシュヴィッツで生体実験された人「赦します」とは御教え受けてか 横浜 吉村 一
お互いに何の言葉も交せずに花散る朝に君逝き賜ふ 横浜 永井 栄司
鴨のふりしているけれど大鷭の岸に上がれば足の長さよ 福岡 三谷 叔美
バレリーナ踊るがごとく風に揺れ今年もここに水仙の咲く 名古屋 富井 弘光
手術後の初の入浴長々と手足伸ばせば細胞呼吸す 秋田 進藤八重子
神様を信じているなら明るくて楽しい顔をと友に言われる 豊橋 赤澤 進
育てざりし娘より数多の倖せをもらいて生きる老いゆく日々を 東京 大江 照子
吾の歌のビギナーズラックの驚きよ指折り数える時のふえゆく 静岡 櫻井 眞子
(作品の応募方法は短歌応募フォームをご覧ください)
◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎
◎紅白の躑躅追悼ミサ飾る 大阪 酒井 湧水
【評】教皇様の追悼ミサか。清い忌心が伝わる
◎貴石めくショコラやバレンタインデー
吹田 野村 愛子
【評】チョコレートを宝石に見立てたのが新鮮
微風にも花びらの舞ふ雪柳 大牟田 北田 紀子
寒風や研ぎ澄ましたる白き富士 府中 荒井 美邦
花吹雪舞ふパパさまが昇天す 日野 広山 弘子
温もりに心ものどか十字切る 豊橋 赤澤 進
母が茶をすする音のみ春火鉢 秋田 畑山真理子
潮干狩太平洋の一隅で 各務原 安江 郁子
水仙や庭の隅なる五六本 伊丹 上野惠津子
受洗子の無垢の涙や水の春 神戸 平尾 孝子
おかつぱのはねる毛先に風光る 丹波篠山 高岡すみ子
古巣へと一直線に燕来る 松山 丹下はつみ
夏近し外壁剥げし信徒館 神戸 屋代 弘忠
鳥声に山茶花紅をひろげたり 福岡 徳永 朝子
春の暮待つ人のゐる坂の街 大分 本田 純江
遥かなる白き帆舟や風光る 福岡 三谷 淑美
患へど力沸きくる復活祭 秋田 進藤八重子
春の花見上げてみればマリア様 甲府 穴水 公一
十薬や富士の霊気を懐に 選者吟
(作品の応募方法は俳句応募フォームをご覧ください)