【ローマ6月30日OSV】ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナの国民の信仰は「苛烈な試練」に遭っているが、神が「最後に決められて、いのちは死に打ち勝つ」と教皇レオ14世は言明する。
教皇は6月28日、聖年のローマへの巡礼で訪れていたウクライナ東方典礼カトリック教会の信者たちにあいさつした。巡礼者たちは28日と29日にバチカンの聖ペトロ大聖堂内の使徒ペトロの墓参や同大聖堂内とローマのサンタソフィア・ウクライナ大聖堂での「聖体礼儀」(ミサに相当)に参加した。典礼はウクライナ東方典礼カトリック教会のスビアトスラフ・シェフチュク上級大司教(キーウ・ハーリチ教区)が主司式し、巡礼者たちは聖ペトロ大聖堂の聖なる扉をくぐった。
聖ペトロ大聖堂で巡礼者たちにあいさつした教皇レオ14世は、聖年の巡礼は「信仰を新たにして、ローマの司教との絆と交わりを強め、欺くことのない希望を証しすることを願うしるしなのです。希望はキリストの愛から生まれ、聖霊によって私たちの心に注がれるからです」と指摘した。
「聖年が私たちに呼びかけているのは、今この時は逆境にあっても、私たちの全人生を通して、この希望の巡礼者となることです」と教皇は説明する。
最新の国連による調査報告では、2024年12月1日から今年5月31日までの間に、ロシアによる長距離および短距離射程の兵器による攻撃で、民間人の死者は前年同時期比で37%増加したとされている。同調査報告がさらに強調しているのは、依然として「ロシア軍によるウクライナ軍兵士の捕虜に対する暴力のまん延」が続いていて、集団処刑や拷問、虐待や性暴力が横行していることだ。
「信仰と希望と平和への地平を切り開く」
「苦しんでいるウクライナの子どもたち、若者たち、高齢者、そして特に愛する家族の死を悼んでいる家庭に、私は心から寄り添っていることをお伝えしたいのです」と教皇レオ14世は自身の思いを表す。「この無意味な戦争の捕虜と犠牲者のための皆さんの悲しみを私も分かち合います。私は皆さんの祈りの意向と日々の苦難、そしてとりわけ、平和と平穏な暮らしへの願いを主に委ねます」
ロシアによるウクライナ侵攻は多くの人の信仰を試練にさらしていると指摘した教皇は、戦死したウクライナ軍兵士の母親たちにも祝福を与えた。
「皆さんの多くは、ウクライナへの大規模侵攻が始まって以来、間違いなく問いかけてこられたことでしょう。『主よ、どうしてこのようなことが?あなたはどこにおられるのでしょう?私たちの家族と家と祖国を守るために何をしなければならないのでしょう?』」と教皇レオ14世は続ける。
教皇はこう付け加える。「信じることで全ての答えを得られるわけではありません。ただ、神が共にいてくださり、恵みを与えてくださること、神が最後に決められることを信じれば、いのちは死に打ち勝ちます」
教皇レオ14世は巡礼者たちに、自分たちが出会う全ての人と信仰を分かち合うよう勧める。
「今日、(マリアに倣って勇気をもって)『はい』と言うことで、信仰と希望と平和への新しい地平を切り開くことができるのです。それは特に苦しんでいる全ての人に向かって開かれます」
