【バチカン4月20日CNS】キリスト信者が抱く希望は、現実逃避のしるしではなく、イエスの復活がはっきりと示すように、罪と死に打ち勝つ神の力への信頼にほかならない、と教皇フランシスコの復活祭メッセージは強調する。
「神に希望を置く人々は、その弱々しい手を神の大きく力強い手に置きます。彼らは高く上げられ、旅に出ます」と4月20日、教皇が復活祭の「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ)の祝福を送る前に代読されたメッセージは指摘している。
3月23日の退院以来そうだったように、教皇の声はかすれていて、十字架のしるしで祝福を送る際には腕がうまく上がらなかったが、バチカンのサンピエトロ広場に集まった数万人の人々は「アーメン」と応えた後、喜んで大きな拍手を送った。
「復活したイエスとともに」、神に信頼する人々は「希望の巡礼者となります。愛である方の勝利の証人、いのちである方の武器をもたない力の証人となります」とメッセージは付け加える。
88歳の教皇フランシスコは、まだ呼吸器疾患からの回復途上にあり、サンピエトロ広場での復活の主日の日中のミサには臨席しなかったが、正午過ぎに聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーに車いすに乗って現れ、復活祭の祝福を送った。
教皇の声は弱々しかったが、全ての人に向けて、「兄弟姉妹の皆さん、良い復活祭を」とあいさつを送ると、メッセージの代読を教皇儀典室儀典長のディエゴ・ラベッリ大司教に委ねた。メッセージは、「復活祭はいのちの祭りです」と強調する。
「神はいのちのためにわたしたちを造られました。そして、人類が復活することを望まれます。すべてのいのちは神の目に貴いものです。母親の胎内の子どものいのちも、高齢者と病人のいのちも。これらの人々はますます多くの国で捨てられるべき存在とみなされています」とメッセージは訴える。
世界の紛争地での永続的な平和祈る
教皇フランシスコは、世界中にはびこる暴力と戦争のうちに「どれほど死への望みを見いだすことでしょうか」と嘆き、政府指導者を含む人々が、「弱い人、疎外された人、移住者」に向ける「さげすみ」を非難している。
教皇はこれまでのメッセージと同じく、戦争と内戦に苦しむ国々での永続的な平和のために祈り、イスラエル、パレスチナ、イエメン、スーダン、南スーダン、コンゴ民主共和国、ミャンマーの名を挙げる。
さらに教皇フランシスコは、「全世界に広がる反ユダヤ主義の風潮の高まりに懸念」を示し、「同時に、わたしは、ガザの人々、とくにキリスト教共同体に思いを致します。そこでは、恐ろしい紛争が、死と破壊を生み出し、悲惨で忌むべき人道状況を引き起こし続けているからです」と記している。
「すべての紛争当事者に呼びかけます。攻撃をやめ、人質を解放し、飢え、平和な未来を望む人々を援助してください」と教皇のメッセージは訴えている。
教皇フランシスコは、復活祭の祝福を送った後、パパモービレ(教皇専用車)に乗ってサンピエトロ広場を巡り、集まった人々とあいさつを交わして、赤ちゃんたちを祝福した。

復活祭の祝福を送る教皇フランシスコ(CNS photo/Vatican Media)